心理学:『防衛機制』の話

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ブログの読者(数人)から心理学の記事がなかなか好評だったので、イルルが大学で学んだ心理学の知識の中で、『覚えておくと生きていくのが何となく楽になる』と感じた防衛機制に関するお話でもしてみようと思います。
注:イルルは一応心理学科卒ですが、心理学に対する理解はまだまだ未熟なレベルです。今回紹介するような話はあくまで”小噺”レベルであって、学術的な記事ではないのでご留意下さい。心理学の禁忌は中途半端な知識で自分を”診断”することです。

防衛機制の仕組み

防衛機制ってそもそも何でしょうか?以下、wikipediaからまるっと抜粋。

防衛機制(ぼうえいきせい、: defence mechanism)とは、受け入れがたい状況、または潜在的な危険な状況に晒された時に、それによる不安を軽減しようとする無意識的な心理的メカニズムである[1]。欲求不満などによって社会に適応が出来ない状態に陥った時に行われる自我の再適応メカニズムを指す。広義においては、自我と超自我が本能的衝動をコントロールする全ての操作を指す。
元々はジークムント・フロイトのヒステリー研究から考えられたものであり[2]、後に彼の娘のアンナ・フロイトが、父の研究を元に、児童精神分析の研究の中で整理した概念である。
防衛機制には、発動された状況と頻度に応じて、健康なものと不健康なものがある[3]精神分析の理論では、防衛機制は無意識(スーパーエゴ)において行われ、不安や受け入れがたい衝動から守り、自分の自己スキーマを維持するためになされる、現実の否認または認知の歪みといった心理的戦略であるとされる[4]

防衛機制

防衛には自我超自我に命令されて行うものと、自我それ自身が行うものとで分かれる。人間にはエス(イド)という心の深層があり、そのエス(イド)から来る欲動から自我が身を守ったり、それを上手く現実適応的に活用したりする方法が、防衛という形で現れる。防衛自体は自我の安定を保つ為に行われるので、健全な機能と言えるが、時にはそれは不快な感情や気分を人間に与えることもある。
ジークムント・フロイトにおける厳密な定義によれば、あらゆる欲動を自我が処理する方法が防衛である。よって人間は常に欲動を防衛している事になる。人間の文化的活動や創造的活動は全て欲動を防衛した結果であり、その変形に過ぎないとされている。しかし一般的には防衛は、自我(あるいは自己)が認識している、否認したい欲求や不快な欲求から身を守る手段として用いられると理解されている。

引用元:wikipedia

分かり易く言うと…。

人間の心にはイド、エゴ、スーパーエゴという3種類の装置が組み込まれていて、それぞれの役割はこんな感じです。

  • イド(エスとも言う)…無意識下に存在する欲望エネルギーの塊。本能。人間の動因となる性的エネルギー(リビドー)と攻撃性(デストルドー)が詰まっている。ワガママな小さな子供のような存在。
  • スーパーエゴ…ごく稀に無意識の海から顔を出すが、ほとんど無意識下にある存在。ルールや道徳、倫理規制、良心などを自我とイドに伝える役割と持つ。完璧を目指す法王のような存在。
  • エゴ…イドとスーパーエゴからの要求を受け取って、外的刺激から自分を防衛する機能。イドからの湧き上がる欲求を昇華したり、スーパーエゴの要求に葛藤したりする。心の機能の概念であり、「自分の意識」という意味ではないので注意。意見をよく聞いて判断を下す裁判官のような存在。

例えば、あなたが学校で夏休みの宿題をどっさり持ち帰ったとしましょう。イドは「夏休みだ!宿題なんて無視して遊ぼうぜ!」と訴えかけますが、スーパーエゴは「宿題をやらないと先生や親に怒られるし、きちんとやるべきだよ」と囁いてきます。そこでエゴが「今日は遊んで、明日やろうっと!」とうまく両方の要求を調整していくワケです。

つまり、人間が現実社会で取る選択は、全て自我が調整(防衛)した結果ということになるのです。ちなみに蛇足で、利己主義者の意味合いでエゴイストという言葉が存在しますが本件のエゴとはほとんど関係ありません。

防衛機制の分類

ハーバード大学医学部の教授であり、精神科医の George Eman Vaillant は、防衛機制をその成熟度によって、4つのレベルに分けました。せっかくですから、面白おかしく人狼ゲームで負けた時の反応を例文にして紹介していきましょう。言葉で並び立てるとなんだか難しそうな単語ばっかりですが、誰もが「ああ、あるあるw」ってレベルで経験しているはずです。フツーに成長した人間なら。

レベル1:病理学的な防衛

ほとんどの場合、病的な防衛。幼少期の最も早期に獲得される防衛機制。その為、小さな子供がこのような行動をするが、精神病理患者もよく行う。現実に対処する必要性を排除してしまう動き。自己愛の強いナルシストにも多く見られる行動で、そうした人達は考えが硬直的で融通の利かないことが多い。

呼び方内容例文(人狼ゲームで負けた時)
妄想的投影自分の中にある受け入れられない情動を外部に写し出す。被害妄想の形を取り、非常に分かり易い率直な形で現れる。たまにいるでしょそういう人?「GMの意地悪で負けさせられた」
拒否不安や苦痛を生み出すようなある出来事から目をそらし、認めない。出来事を忘れようとする『抑圧』等と異なり、出来事そのものが存在しなかったかのように振舞う。「人狼ゲーム?やってないよそもそも」
歪曲事実を捻じ曲げて、自分の都合のいいように再構築する。幻覚や誇大妄想と関連がある。よくツイッターとかで「はい論破wオレの勝ち~w」とか連呼してくるタイプの人が発動している。「さっきのゲームはオレの勝ちだったよ!」
分割対象や自分に対しての『良いイメージ』と『悪いイメージ』を分離させてしまう。『抑圧』が臭いものにフタをする、という動きに対して、『分割』はそれぞれ別の箱に入れてしまう。それらは統合されず、連続性がない。多重性人格障害(二重人格とか)などと関連がある。「負けたのはもう一人のボクだから…フフ」

レベル2:未熟な防衛

たまに成人にも見られるが、一般的には青年期(中学生とか高校生とか)によく見られる。自分を脅かすことや不快な現実から不安を軽減しようとする動き。あまり繰り返すと社会的に望ましくない行為になることがある。重度のうつ病患者や人格障害者もこのような反応をするが、成長過程の青年ならばこのような防御方法を取るのは至って正常なことであると定義されている。

呼び方内容例文(人狼ゲームで負けた時)
行動可抑圧された衝動や葛藤が問題行動として表面化すること。暴力、暴言、浪費、過食などの他、性への依存、薬物依存、アルコール依存、万引きなど。自傷行為(いわゆるリスカ)や自殺企図も含まれる。「この村マジでクソだなw」
幻想シゾイド幻想( Schizoid Fantasy )とも言う。空想の世界に後退することで苦痛で平凡な現実から逃れようとする。もし宝くじが当たったら何しようか色々考えちゃうアレ。「GMさんと結婚したら楽しそうだなあ…」
理想化『分割』(レベル1)したものに対し、一方を過度に誇大化すること。もう片方は価値が無いものとして認識する。(脱価値化という)
高次な理想化は『悪い』部分だけを上手に脱価値化し、自分の攻撃性を否定したり罪悪感を取り去ろうとする。
「負けたのは悔しいけど、僕たちも頑張ったよね!」
受動的攻撃行動怒りや不満を直接表現せず、ネガティブな形で表現する行動。例えば学校をサボったり、友人との待ち合わせにわざと遅刻したり、いわば後ろに引くことで抵抗する。対人関係にも支障を来すが、両側面的なことが多く、急に謝ったり宥めたりといった動揺を示すことも多い。「次からはあの村は参加しないかな~(空リプ)」
投影自分自身の中にある受け入れがたい不快な感情を、自分以外の誰かに押し付けて解決すること。要は”責任転嫁”に近い。例えば、本当は自分が憎んでいる人間に対し、相手の方こそが自分を憎んでいると知覚したりする。ちなみに良い『投影』のケースも存在する。「あぁー霊能さんがあそこで指定間違えなきゃな…」
投影性同一視投影同一化とも呼ばれる。例えば「相手が自分を憎んでいる」と投影した人間に対し、わざと本当に憎まれるような立ち振る舞いをして、投影を成就させること。他には、魅力を感じている異性に対し無意識的に誘惑してしまったり。これは両当事者の自覚の外側で起きる。「霊能さんもあそこは指定間違えたって思ったでしょ?」
身体化否定的な感情を痛みや不安、病気に置き換える例えばどこも悪くないのに『胃の調子が悪い』と思い込み、実際に吐き気を感じたり寝込んだりする。心気化とも言う。「ごめん、なんか頭痛がひどいわ」

レベル3:神経症的な防衛

成人に多く見られる。短期的な対処方法としては利点があるが、長期的に続くと対人関係や仕事に支障を来すこともある。うつ病やパニック障害、ヒステリーなどとも関連性がある。ちなみに、現代の心理学では「神経症」という言葉はほとんど使わない。

呼び方内容例文(人狼ゲームで負けた時)
置き換え欲求を本来のものと別の対象に置き換えることで充足すること。つまり、八つ当たりとか妥協。欲望をぶつける相手をより安全な(反撃されない)相手にシフトする。幼児虐待しちゃう母親のアレ。子供が巣立ってからペットを溺愛するおじいちゃんとかもコレ。「寡黙な村人のせいで負けたんだ!」
解離ある一連の過程を、個人のそれ以外の精神活動から隔離してしまうこと。分かり易く言えば、幽霊を見て気絶する人。退屈な授業の最中に、あれこれ空想してて、休み時間のチャイムでハッと我に返るアレ。あまりにも重篤な場合は『解離性人格障害』と診断されるケースもある。「あれ?今私何してたんだっけ?」
心気症重篤な病気にかかる心配や、過度な先入観のこと。正直、レベル2の『身体化』とどう違うかはよく分からん。イルルの勉強不足でごめんなさい。「あばばばばww」
知性化感情や痛みを難解な専門用語を延々と語るなどして観念化し、情緒から切り離す機制。不快な出来事を他人事のように取り扱い、自分から切り離す。知性の働きによるコントロールである。つまり思考の割り切り。いきなり専門用語連発してくる人、いるでしょ?「この敗北なんて広大な宇宙から見れば実に些細なことさ」
隔離思考と感情、または感情と行動が切り離されていること。いわゆる『本音と建前』を使い分ける動き。現代の日本社会では必須だとも言われている。しかし感情を抑制して観念だけ意識化し「頭ではおかしなことだと分かっているが、やめられない」といった状況を生み出すことがあり、強迫性障害と関わりを持つとされる。エアコン消したか何度も確認しないと気が済まなくなっちゃうアレ。「楽しかったね(はぁ…ムカつく)」
合理化満たされなかった欲求に対して、理論化して考えることにより自分を納得させること。イソップ物語の『酸っぱいブドウ』が例えとして有名。簡単に言えば何かしら言い訳をして不完全でありながらも問題なしと結論付ける。「この村、レギュおかしいよね」
反動形成受け入れがたい衝動、観念が抑圧され、無意識的なものとなり、意識や行動レベルでは正反対のものに置き換わること。本来、攻撃的な人がものすごく親切に振舞ったり、本当はド変態な人が性への蔑視を口にしたり。“慇懃無礼”とか”バカ丁寧”な人がコレ。性格として固定されることもあるが、本人に自覚はない。「みんな大丈夫?楽しめた?」
退行許容できない衝動をより適切な方法で処理するのではなく、エゴを一時的または長期的に、発達段階の初期に戻してしまう。要はバブることでストレスを回避する。子供みたいな振る舞いをすると聞くとなんかみっともなく思えるが、ゲームではしゃいだり、恋人に甘えてみたりと、一時的な退行は創造性が高まったり、自我の律性を育てるものとして健康的行為とされている。「やだぁ~!もう一回やってぇ~!」
抑圧エゴを脅かす願望や衝動を意識から締め出して意識下に押し留めることであり、意識されないままそれらを保持している状態である。最も基本的な防衛機制の一つ。フロイトによれば幼少期の願望の抑圧によってイドがエゴとスーパーエゴに分化するとされ、健全な性格形成において必要なプロセスとされる。子供のころに我慢した経験がない人はワガママな大人になるってこと。「言いたいことあったんだけど忘れた…」
打ち消し罪悪感や恥の感情を呼び起こす行為をした後で、それを打ち消すような類似の、またはそれとは逆の行動を取ること。例えば、大きな買い物をした後に余計な買い物までしてしまうのは散財感の意識を分散させる打ち消しの働きによるもの。他には、浮気している夫が妻に優しくなるのもこの打ち消しの典型。「とりあえずもう一回やろう!」
逃避面倒に感じることや向き合うことが困難な現実から目をそらし、別の現実や空想へ目を向けること。「抑圧・否認・隔離」の総称とする場合もある。例えば、家庭に問題があって家に帰りたくない夫が、無意識的に仕事を詰め込んだり、学校を休みたい学生が原因不明の頭痛を感じたり、といったもの。(体調が悪ければ家に居られる)「ちょっと忙しいんでこれで失礼します」

レベル4:成熟した防衛

感情的に健康な成人が行う防衛。当人の人生と人間関係を最適化し、社会的に好ましいとされる。要は『大人の対応』というヤツ。これらの防衛は喜びの感情をコントロールし、対立した思考をうまく統合することが出来る。レベル1~3の防衛機制を制御する働きもある。(レベル4の防衛が出来ないと必然的にレベル1~3の防衛に頼るしかない)

呼び方内容例文(人狼ゲームで負けた時)
利他主義愛他主義とも言う。自分の不利益を省みずに他者へ奉仕すること。例えば、ボランティア活動に参加することで自分が社会に役立っているという充足感を得たり、他人を喜ばせることでその反応を通じ、自らの満足感とする。宗教と関わりがある。「みんな楽しめたなら良かった!」
先取り将来の苦痛を予想して、現実的な計画を立てること。悪い状況を体験する前に”保険”をかける。人狼ゲームで言えば「○○が狼なら負けでいいや」って言うアレ。他には分かり易い例として、寝たきりの老人が家族に疎ましく思われるのではないかという不安から、「早くポックリ逝ってしまいたい」と口にするなど。(本当は長生きしたい)「なんか連敗記録作っちゃいそう」
ユーモア人を和ませるような”おかしみ”のこと。つまりジョークとか一発ギャグとか。防衛機制で言うと先生の話がとても退屈な授業中に、冗談を飛ばして退屈さを解消する動きなど。ユーモアにはセンスと思いやりが必要であるとされる。(例えば、女性に対しての安易な下ネタはユーモアでなく、ただのセクハラになってしまう)「負けたから全裸でダンスしまーすw」
同一化自分の尊敬する人や理想とする人の振舞いや特徴を真似て欲求を満たすこと。例えば、有名になりたい人が一流芸能人の服装を真似てみたり、偉人の本を読んでその思想を我が物とするなど。尚、他人の経験を真似るのではなく、自分のものだとする場合は「同一視」と言う。「狼側は楽しそうだったなあ!」
昇華社会的に実現不可能(反社会的)な攻撃欲求や性的欲求を別の形で表現し、自己実現を図ろうとする。例えば、暴力事件を起こしてばかりの不良がプロボクサーとしてデビューしたり、スピード狂の暴走族が白バイ隊員に就職して活躍するなど。これはイルルの持論だが、成功している芸術家や音楽家はほとんどが爆発的な性的エネルギーを昇華させていると思う。「今回の村の様子をマンガにしました!」
抑制基本的な防衛機制の一つで、エゴを脅かす願望や衝動を封印し、忘れようとすること。レベル3の『抑圧』と一緒やん!って思うかもしれないが、こちらは意識的に実施する点が抑圧と大きく異なる。抑”制”の方が抑”圧”よりも高次な精神作用なのである。「言いたいことあるけど忘れよう」

まとめ

このように、人間の心は自分を守る為に色んな機能を持っています。しかし、心は常に変化していますし、今回紹介しているカテゴリーもあくまで George Eman Vaillant のモデルの部分だけです。(他にも防衛機制はたくさんの種類があります)
変に自分を『私はこういう人間だ』と枠組みに当てはめず、自由な発想で伸び伸びと生きるのが大切です。

でも、もし何か対人関係で腹が立つことがあった場合には本記事を思い出してみて下さい。相手の反応はほぼ本記事の防衛機制のいずれかですから、「ふむふむ、こいつは今こういう防御反応を示しているんだな」って考えるとなんだか腹も立たなくなりますよ。(これも”知性化”ですね)

特に『歪曲』や『妄想的投影』の反応を示している人には「ヤバい人なんだな」、「この人はまだ精神が未熟なんだな」、って心の中でマウント取ってやりましょう。(これは”合理化”かな!)

自分の感情をうまくコントロールするのが人生を楽しむ秘訣だぞ