SNS発、三角関係の末の殺人事件

2021年8月31日、朝晩の涼しさに秋の気配をかすかに感じさせるこの時期、東京都墨田区に住む女子高生が山梨県早川町の物置小屋にて、変わり果てた姿で発見されました。一体何が起きたのでしょうか。警察の捜査では、SNSを介して知り合った男女が三角関係の末に起こした事件であることが分かっています。

事件の概要

8月28日 15:30頃、「友達に会いに行く」と家族に伝え、都内に住む鷲野花夏わしのかな(18)さんは自宅を後にしました。しかし彼女が向かった先は近所の友人宅などではなく、すぐ近くの駐車場に待機していた小森章平こもりしょうへい容疑者(27)とその妻、和美かずみ容疑者(28)の車だったのです。

その後、出かけたまま帰って来ない花夏さんを心配した母親が警察に通報し捜査を開始。30日の夜、小森夫妻の車が長野県を走行しており、たまたま警察が職務質問したところ花夏さんの遺体遺棄を認め事件が発覚。花夏さんの遺体は背中に4か所の刺し傷と首を絞められた跡があり、強い殺意が窺えたとのことです。また、遺棄された物置小屋には新品の南京錠がかけられていたとか。発見を遅らせる為でしょうか。

小森章平容疑者について

小森容疑者は元々三重県に住む溶接工でした。高校を中退して実家暮らし。しかしその実家に相当なストレスがあったようで、6月に自殺未遂をしています。その様子は彼のツイッターアカウントで伺い知ることが出来ます。ネット上では漆桜華月くろざくらしろつき、藤桜華月と名乗り、親しい人には『シアン』と呼ばれていたようです。ちなみに文中のアルクマーシャというのは妻の和美容疑者のことです。夫婦でVtuberをやっていたようですね。

小森容疑者はその後、7月24日に『夜逃げ』と称してどこかに移住した旨をツイートしています。600kmを移動したということなので、実家のある三重県から群馬県に引っ越したと考えると辻褄が合います。実家の親族と手を切って、新天地で暮らそうと思ったんでしょう。彼の部屋にはただ一枚、「探さないで下さい。探したら容赦しません」という置手紙があったそうです。

三重県の元勤務先にも、7月26日に退職届けが突然郵送で送られて来たということなので行動時期は一致しますね。ちなみにこの時、退職代行サービスを利用したそうです。何故群馬県に引っ越したかは不明ですが、妻の和美容疑者が元々群馬に住んでいたということなので、それが要因かもしれません。

夜逃げ時のツイート。嬉しさが伝わってくる内容だが…。

殺害の直接的な動機はまだ不明ですが、直近の3カ月で自殺未遂や夜逃げをしていたということなので、精神的に不安定な状態だったのではないかと思います。仕事も退職してしまっているので生活基盤も危うかったかもしれません。

彼がどのような経緯で花夏さんと知り合ったかは不明です。少なくともSNS上で知り合ったことが分かっていますが、ツイッター以外にもフェイスブックやインスタグラムにアカウントがあり、キャンプ、サバイバルゲームの他にネットゲームやアニメなど多数の趣味がありました。それら趣味ごとにアカウントがある為、いずれがキッカケになったかはわかりません。Vtuberとして活動していたのでそこがキッカケである可能性もあります。

しかし彼が出入りしていた三重県のサバイバルゲーム場のオーナーは下記のように述べています。

「彼のことはよく覚えていますよ。5年前、彼は初めてここに来たのですが、SNSで知り合った友人に連れて来られてのことでした。小森くんは人見知りであまりしゃべらない、おとなしい性格。2回め以降は一人で来ていましたが、特に誰かと親しくなった様子はありませんでしたね。当時、彼にはどこか人恋しそうな印象がありました」

「報道で知ったときは信じられませんでした。彼は虫も殺せないような男ですよ。今回の事件も、妻と出会わなければ起こらなかったと思います。あのままウチでサバイバルゲームを続けていてくれれば……。プレーを通じてサバイバルゲーム仲間たちと関わりを持っていれば、こんな事件を起こさなかったのではないかと悔やまれて……」

引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/9024fffc4777b509762c7fe56e2b62d38e97960b

元々とても大人しくて優しい性格だったという章平容疑者。彼が凶行に走ったのは妻、和美容疑者の影響だったのでしょうか。

小森和美容疑者について

小森章平容疑者の妻であった和美容疑者。2人がどのように知り合ったかは不明ですが、やはりSNSなのではないかと推測しています。結婚する前、章平容疑者は三重県住まい、和美容疑者は群馬県住まいです。現実の生活空間の中で接点があったとは思えませんからね。彼女はネット上でアルクマーシャと名乗っていました。

和美容疑者は元々結婚しており、子供もいました。しかし新聞配達員であった夫のDVに悩まされており、2021年始めに離婚。その後に新しい夫として2021年2月頃に再婚したのが章平容疑者というワケです。章平容疑者の母親は次のように述べています。

「私が夜勤明けで家に帰ってきたら、普段、家でも無口な章平が『知り合いにDVに遭っている人がいるから、迎えに行く』と言うんです。私はよく事情が呑み込めないまま、章平はうちの車で突然出かけていきました。その翌日、章平が連れてきたのが和美でした。和美はどうも住んでいた群馬にはいられなくなった“事情”があるようだったので、章平が言うなら受け入れるしかないかと思い、彼女も我が家に一緒に住むことになったんです」

引用元:https://bunshun.jp/articles/-/48384

その後、章平容疑者の実家で奇妙な"新婚生活"が始まりました。しかし和美容疑者はだらしない性格だったようで、部屋にはゴミやペットボトルが散乱しており、(章平容疑者の)中学生の弟がいる前でも、下着でうろついていたとのことです。

和美容疑者のツイート。プロポーズは章平容疑者からだったようだ。

また、彼女宛に借金の督促状が何通も届くようになり、母親が事情を聴いたところ、「前夫がネットゲームで作った借金」と説明していたとのことです。更に一人だと聞いていた子供が実は三人いたことも発覚。章平容疑者の母親は「子供を引き取りなさい」と促していたそうですが、自分の子供に愛着がないのか、カラ返事をするばかりだったそうな。

「『夜逃げ』の2週間前ぐらいでしょうか、急に渋川市から和美宛てに『子育て支援』の封書が届いて、疑問に思ったんです。章平に聞いたら、『実は和美には、前夫との間に1人子どもがいて、和美の実家に預けているらしい』と言っていました。でもそれも嘘でした。子どもは3人いたんです。章平も後からそのことを知って驚いたようでした。

 それまでにも弁護士名義で借金の催促状も何通も来ていて……。封書の中身は見ていませんが、和美は『借金は前夫がネットのゲームで課金して作った』と言ってました。章平は『2人で(借金を)返す』と言ってました」

引用元:https://bunshun.jp/articles/-/48384?page=2

また、結婚してすぐの後、和美容疑者は夫の不倫を疑うようなツイートをしています。どうやら自分しか知らないはずの章平容疑者の本名を(ネット上で)知っている女性がいたそうで、不審に感じたようです。見返すと、これが花夏さんだったのかもしれません。

その後のツイートでも、章平容疑者に対して疑惑の念が強くなり、ときたま精神的に病んでいるような内容を呟いていることが分かります。DVの夫から解放され安らかな生活を手に入れた矢先、最愛の人に裏切られたことで気持ちが不安定になっていったのかもしれません。

まとめ

章平容疑者は実家とのトラブル、和美容疑者は前夫との離婚や借金問題を抱え、2人も安定した生活とは言えなかったかと思います。綱渡りのように、精神的に不安定な生活を送っていたのでしょう。

コロナ禍でソーシャルディスタンスが求められる中、SNSという手軽に人恋しさを埋めることが出来るツールを使って知り合い、2人が心の隙間を埋め合うように惹かれ合ったのは自然なことかと思います。ある種の共依存関係かもしれません。

そんな中、花夏さんという第三者が登場し、本来責められるべきは章平容疑者であるところ、攻撃の矛先は花夏さんに向けられてしまいました。共依存関係が影響する防衛反応とも言えるでしょう。花夏さんはまだ18歳。祖母、両親と暮らす一人娘で、まだまだ未来のある身でした。彼女の祖父は次のように述べています。

「友達と買い物に行った後、英語の塾だよと言っていたのに、帰ってこなかった。本当に良い孫でした」

引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/b55dfedcbc8a353e9f86604a1555da30e7113dcb

また、皮肉なことにも、小森和美容疑者は2021年8月に妊娠の報告をしています。新しい命を授かりその尊さを感じる機会もあったでしょうに、どうして人の命を奪ってしまったのでしょうか。章平容疑者との初子は獄中で出産することになるでしょう。

オレの周りにはSNSで知り合って幸せな結婚してる人多いんだけどな

ま、結局は『人による』ってことだわさ