ウクライナで何が起きているのか

最近何かとニュースになってるウクライナ情勢。あわやロシアと戦争に…なんて物騒なハナシまで出ていますが、何が問題なのかまとめてみました。

ウクライナってどんな国?

東ヨーロッパにある国。人口は4130万人で日本の3分の1くらい。黒海に面していますが内陸の方にある国で、紀元前3万年から人が住んでいました。首都キエフを中心に大きな国家を形成していましたが、ポーランドやロシアによって長らく支配された歴史を持ちます。

しかしロシア革命の後、1917年に民族自決運動が起こりウクライナ人民共和国を宣言。更にその後、ソビエト連邦の崩壊に伴い、1991年にやっと独立を果たして一つの国家となりました。なので自らの足で歩み出してまだ30年くらいの若い国と言えます。

ヨーロッパの中で2番目に貧しい国で、高い貧困率と汚職に悩まされています。腐敗認識指数という『どの程度政治家の汚職がヒドいか』を示す世界ランキングがあるのですが、ウクライナは130位でヨーロッパの中では断トツの最下位です。(ちなみに日本は18位!高い!)

女性の幸福度も低く、ウクライナでは伝統的な家父長制度が根強く残っており、『男は働きに出て女は家を守る』という風潮が未だにみられます。男女の平等感を示す男女格差指数は153国中59位でした。(ちなみに日本は121位!低い!)

しかし農業をするのに適した肥沃な大地を持っており、国際通貨基金(IMF)からお金を借りる代わりに農地を切り売りしてなんとか踏ん張っているような国です。貧困国よろしく軍隊だけは力を入れており、ヨーロッパではロシア、フランスに次いで3番目に大きな軍隊を持ちます。

首都はキエフで、ロシアの首都であるモスクワまでは車で11時間くらい。ロシアの目と鼻の先にある国ということになります。

キエフからモスクワへは『いつでもミサイルが届く距離』である。

ロシアとウクライナの関係

ロシアとウクライナは隣国でありながらとても仲が悪いです。ウクライナは1991年に独立しましたが、ロシアの指導者はたびたびウクライナがロシアの支配圏である見方をしてきました。

竹島のように領土問題が深刻で、トゥーズラ島という小さい島をめぐって争ったり、ちょうど2つの国の間にあるクリミア半島をロシアが一方的に占領しようとしてドンバス紛争という武力衝突を起こしたりしています。

ウクライナではロシア系のウェブサイトやSNSにアクセス禁止。また両国間での旅行も禁止。ロシアから輸入していた天然ガスも2016年に打ち切り。さらに2018年、1997年にロシアと締結した友好協力条約を延長しないと通告するなど、まさに犬猿の仲です。日本と韓国がさらに仲悪くなった感じを想像してもらえればいいでしょう。

ウクライナでは子供たちに反ロシア教育を施し、軍事演習を体験させている。

ロシアと欧米の関係

冷戦以降もロシアとアメリカは超大国としてお互いをにらみ合っていますので、国際社会のお約束というかウクライナはアメリカととっても仲良しです。敵の敵は味方、ってね!まあ逆に言えばアメリカの後ろ盾があるからウクライナも大国ロシアに大きく出られるんですね。

ウクライナはロシアの支配から逃れてEU(欧州連合)に加盟したがっており、アメリカもそれを応援しています。実際にアメリカはウクライナに軍備供給を行ったり兵士訓練を実施しています。ウクライナは都合の良い『緩衝地帯』だったのです。

すなわちウクライナというのは『ロシア側につくかアメリカ側につくか選択を強要されている国』ということになりますね。ある意味代理戦争を請け負っている国とも言えるでしょう。

もしウクライナが欧米側につけば、モスクワに肉薄して隣接する国を欧米側が主導することになり、ロシアはたまったもんじゃありません。日本で言えば北海道が北朝鮮に併合されるようなもんです。(極端な表現ですけど)

とはいえ、元々は海外の国家支援に自国のリソースを割くことを嫌がるバイデン大統領は、今回の騒動を機にウクライナからアメリカ軍を早々に引き上げてしまったようです。ウクライナからすれば梯子を外された格好かもしれませんね。

バイデンはアフガニスタンと同じようにウクライナからバイバイデンした。

今回の騒動について

こんな感じでロシアと緊張状態にあったウクライナですが、今回ウクライナがNATOへの加盟を示唆したことが発端で起爆剤となり、戦争の一歩手前まで来ています。

NATOというのは正式名称が北大西洋条約機構。簡単に言えば『弱い国同士で連携してロシア(共産圏)に対抗しようね!』という組織です。NATO加盟国は自国が侵略された場合、共同防衛権を発動して多数国家で仕返しすることが出来ます。2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件の折には実際に北大西洋条約第5条を発動し、アフガニスタンを攻撃しています。

そして2008年のグルジア紛争(グルジアとロシアのケンカ)以降、NATO諸国とロシアの関係はますます悪化し『新冷戦』と呼ばれていました。ロシアにとってウクライナがNATOに加盟するということは、敵国に寝返ることと同義なのです。

ロシアのプーチン大統領はウクライナに『絶対にNATOに加盟しないように』と要求。これに対してアメリカとNATOは『それでは話にならない』と突っぱねている格好です。ロシアは威嚇のためウクライナとの国境付近に10万人規模の軍隊を集めて軍事演習を開始。侵略の意思はないと公式に発表していますが、アメリカ側は『いつ空爆が始まってもおかしくない状態』と警戒を強めています。

ロシアとアメリカの間には依然として大きな溝がある。

キューバ危機以来の大事件だわさ!