【逆統戦:地と海の革命者へ】ものすごいアウトなボードゲームが登場

先日台湾のチームからものすごいボードゲームが発表されました。『逆統戦ぎゃくとうせん:地と海の革命者へ』という名前のボードゲームです。逆統戦というのはその名の通り統活する組織に逆らうという意味で、これはつまり、中国共産党中央統一戦線工作部(通称:統戦部)に逆らうという意味を示唆しています。

※統戦部…中国政府内で情報工作や民族、宗教についての業務、チベットに対する弾圧や海外における祖国統一工作を担っている組織。

中国のお膝元では当然の如く速攻でこの『逆統戦』という名称を使った宣伝が禁止された為、『コミースレイヤー』という別称に切り替えていく方針みたいですね。(それでも無理があるけどw)以降はこの記事内でもコミースレイヤーと記述します。

コミースレイヤーのストーリー

今から400年前、「清帝」と呼ばれる人物が天空に飛び立ち、報奨金と屠殺用ナイフを携えて、100年の間に東大陸の四大王国:満蒙草原(Tartaria)、トルキスタン沙城(Turkestan)、大チベット雪域(Greater Tibet)と中華沃土(China Proper)を制覇し、七つの王国の運命を結びつけた。

今から110年前、「清帝」は辛亥の軍乱で退位し、共通の主を失った四国はそれぞれの道を歩むことになった。 40年にわたる混沌とした戦争の後、「統一戦線」の指導の下、「紅軍」と呼ばれる軍隊が中華全土を征服し、清帝国に従属していた従属国や割譲地をできるだけ多く服従させ、新たな巨大国家「中華人民共和国」を誕生させた。

「清帝」や「清帝の王公」とは異なり、「紅軍」はもはや従属国の自治統治を許さなかった。 その理想実現のために、「紅軍」は各州で残忍な植民地支配を行った。 国家の残党は、「紅軍」が築いた城壁から逃げ出し、祖国を攻撃する機会を待つしかなかった。 まだ屈服していない旧清国の最後の一部である台湾は、まだ海の真ん中にあって、大陸から攻めてくる「紅軍」を迎え撃った。 諜報活動と小規模な武力で戦う「七十年戦争」が大陸を席巻している。

一握りの信奉者や寄付者からスタートしたプレイヤーは、様々なイベントや「紅軍」の嫌がらせに応じて、プロパガンダや資金を情報や戦力と交換したり、様々な組織体験や指揮戦略、大国からの援助を受けたりして、東の地図上の町から町へと、敵や自分たちの「組織」を変えることができる強力なカードの武器を作ります。

プレイヤーは、香港、モンゴル、チベット、カザフスタン、ウイグル、満州、台湾、中華の反乱軍に扮して「紅軍」の支配を打倒するか、「紅軍」に扮してすべての反共陣営を倒して台湾を占領するかを選ぶことができる。

引用元;wikipedia

うーん、火の玉ストレートですね。

これが例えば『アンデッドの軍勢から国を守る為、エルフやドワーフなどの異種族を選んで対決せよ!』みたいなファンタジーに置き換えた内容なら何の話題にもならなかったと思います。それかWW2戦下のナチスドイツから国を守る為にフランスやロシアで頑張ろう、とか。そういうゲームなら実際いくらでもあります。

しかしコミースレイヤーは現在進行形の国家を主人公にして、紅軍(要は中国の軍隊)を相手取って戦えというコンセプトがマジでぶっ飛んでます。日本で例えると『自民党をぶっ潰せ!』みたいな感じ。しかも公式に『このゲームは現実です。登場する国家は全て本物であり現実と強い関係があります』って書いちゃってます。もうホントとんでもない。

中国の内政事情

あまりニュースを見ない人向けにちょっと中国の内政事情を説明しますが、中国はロシアの影響を受けて一貫して共産主義を貫いている国家です。まぁ実際のところどれだけ共産主義を実現出来ているかは疑問ですが、国家の主導権が非常に強く、基本的に民主主義とかけ離れた位置にあります。

有名なものとして例えばこんな規制を実施しています。

  • ツイッターやフェイスブックは使用禁止、Youtubeも閲覧禁止(国内から接続不可能)
  • 大儲けしてる企業には難癖まがいの独占禁止法で大金を巻き上げる
  • 武漢でコロナについて調査したジャーナリストを逮捕
  • 海外とチャットが出来るオンラインゲームを発売禁止
  • 天安門事件について調べること禁止、中国人の大半は事件があったことすら知らない
  • チベット問題について訴える人間を逮捕
  • 人権派弁護士も一斉逮捕
  • とりあえず政府に都合の悪い人間はみんな逮捕

このように強大な権力を振りかざし、ナチス政権下の秘密警察のような組織が未だに国民を24時間監視している社会なのが現状です。こんな情勢下ですから、中国を悪役に仕立て上げたコミースレイヤーは色んな意味で革新的なボードゲームなのです。開発者の身元がばれたら大げさではなく逮捕は確定、下手すると死刑ですね。

コミースレイヤーのゲーム内容

ではそんな火の玉ストレートなコンセプトのコミースレイヤーですが、肝心のゲーム部分は面白いんでしょうか。公開されている情報によると、このような流れみたいです。

  • 『逆統戦:地と海の革命者へ』は非対称デッキ構築でエリアコントロールを目的としたボードゲームです。1名のプレーヤが「紅軍(中国共産党)」を扮して、数名のプレーヤに対抗します。
  • プレイヤーはデッキ(すなわち革命勢力)に含まれている宣伝能力と資金を有力な組織や情報、作戦経験に変えることで敵を阻害し続けることで、持久戦においての勝算を立てましょう。
  • プレイヤーの目的は、一つの革命勢力を指導し、内部の軋轢をいなし、各国の援助を勝ち取り、レジスタンス組織を発展させ、平和的手段と武力を使い分けて紅軍を消耗させ、中国共産党(中共)の統治を揺るがす「大洪水」が降りかかる日を早めることです。
  • ゲーム終了前にカーテン内に14個以上の有効な組織を持っているプレイヤーがいれば、紅軍の支配力が相当蝕まれたことを意味し、蜂起を宣言することでゲームに勝利します。
  • 或いは中共の統治を固守する紅軍を演じ、分離主義者や「反動派」などを力でねじ伏せて安定した「和諧社会」を守り、民族の団結と国家の統一をゲームの最後のターンまで死守して東方大陸の偉大なる復興を目指すこともできます。台湾を併呑すれば、その時点で紅軍の勝利となります。
  • ゲームの中の組織は、反共団体や、秘密結社、ゲリラ隊や台湾のスパイ、そして共産党寄りの団体、中共スパイ、強制収容所、偽装政党、武装警察や香港警察などを表します。プレイヤーはスパイで敵対組織を瓦解させたり、武力を用いて相手のカードを破壊することも可能です。
  • ゲームには2000年から2020年までの実際にあった出来事(貿易戦争、一帯一路、東トルキスタン強制収容所、香港人自殺に見せかけて殺害など)と少数ながら虚構の事件が混在します。プレイヤーは大北方、アングロ、東北アジア、東南アジア、亜大陸、ムスリム、ヨーロッパなど7つの諸国のエリアから秘密援助を求めることができます。
  • ノヴォシビルスクからジャカルタ、アフガニスタンから樺太島までの広大な土地と海に所在する264の町を舞台に、東方8カ国と手を組み、列国7カ国との駆け引きを制し、共産党が築いたカーテンに囚われた国に真の解放を目指しましょう!

大体まとめると紅軍とその他に分かれて戦う非対称型で、手札を集めてのデッキ構築とエリアコントロールがメインのギミックみたいです。プレイ人数は1~4人で、シングルプレイヤーモードも搭載しているとのこと。パンデミックみたいにゲームシステムと戦うようになるんでしょうか。

詳細な説明書はこちらに公開されています。(PDF)

https://drive.google.com/file/d/1gWKsR4kFg9_iOAkWHSGSDAArAI9NsVmR/view

親切にもこのゲーム、難易度が選択出来るようになってまして、練習モードからハードモードまで存在します。その分類がこちら。

うーん、火の玉ストレートですね。習近平が一番ザコい扱いになってるのが笑える。

コミースレイヤーの開発元

発売前から問題作扱いのコミースレイヤーですが、開発元はどちらなんでしょうか。公式情報によると『本ゲームは実際に「逆統戦」工作を実行している反共組織「台湾海外戦略的コミュニケーション工作グループ」(External Strategic Communication Working Group, Taiwan、略してESC)が制作させていただきました。』とのこと。なんとリアルな反共組織がゲーム作っちゃった☆テヘペロっていうことみたいです。

しかしこのゲーム、10万台湾ドル(約40万)を目標にしてクラウドファンディングで資金集めが始まったのですが、最終的に集まった金額は22,395,514台湾ドル。日本円にするとなんと約9200万円もの支援が集まりました。ここまで来るとゲーム目的というより別の何かが動いているような気がしてなりませんw

クラウドファンディングサイト『噴噴』より

コミースレイヤーはいつどこで買える?

コミースレイヤーはすでに予約サイトで予約することが出来ます。出荷は12月中旬を予定しているとのこと。当たり前ですけどAmazonで発売したりおもちゃ屋の店頭に並ぶようなことはないでしょう。

⇒予約サイト:https://www.reversedfront.tw/product/46c60f8b-bbfb-4bc9-8db1-0a5f77ff71d2

コマが紙製のバージョンは8,427円。金属製になっているデラックスバージョンは11,256円です。尚、本ゲームの売上は実際のレジスタンス活動の資金になるとのこと。火の玉ストレート過ぎる。

尚、日本からもかなりの支援があったらしく、ファンサービスとして日本語バージョン限定で『日本勢力』を追加封入するとのことです。

日本勢力のキャラは 根本博陸軍中将をモチーフにしているとのこと。

住所がバレないようにファミリマートでの受け取りサービスも展開しており、個人情報はしっかり保護するとのこと。持ってるだけで逮捕されそうなゲームですからね!尚、ボードゲーム版以外にPC版やスマホアプリ版の展開も予定しているとのことです。(おいもうその辺にしとけ)

絵師の身元は多分一生判明しませんが、フツーにカードの美麗なキャラクターを眺めているだけで色々楽しくなってくるコミースレイヤー。興味が出たら是非手を出してみて下さい。(何があっても責任は取りませんが)

いやぁ…買うかどうか悩むわさw