低迷している日本の食料自給率

2021年9月7日

先日、『日本は食料自給率が低いんだよ』というお話を聞きました。日本は田舎で米や野菜がたくさん採れるイメージが漫然とあったのですが、本当なんでしょうか。調べてみました。

主要国との比較

早速ですが世界各国の主要国と比べると、日本の食料自給率はこんな感じになっていました。

国名	生産額ベース	カロリーベース
カナダ	121%	264%
オーストラリア	128%	223%
フランス	83%	130%
アメリカ	92%	127%
ドイツ	70%	95%
イギリス	58%	63%
イタリア	80%	60%
スイス	70%	50%
日本	70%	39%

うん…本当に低いですね。
ちなみに生産額ベースというのは、国内で生産された食料の価格と、国内の市場で出回った食料の量を比較するもの。カロリーベースというのは単純に、国民一人が必要なカロリー消費量と、生産した食料のカロリーを比較するものです。日本は1965年では自給率73%でしたが、年々落ちて今に至っています。

食品別の細かい自給率

冒頭に書いたように、日本ってお米とか野菜がいっぱいあるし、島国だから魚がたくさん採れるイメージなんですが、なんでそんなに低いのか品目別に調べてみました。

すると確かに、米の自給率は96%、野菜は79%と高い自給率を誇っています。鶏卵やキノコ、芋なんかも高い自給率を誇っているので、輸入に頼るということはあまりなさそうです。魚介類は52%でした。意外と低い。これは東日本大震災で漁業が不振になったことも影響しているそうです。

じゃあ何が足を引っ張っているかというと、小麦(14%)、油脂類(13%)、大麦(9%)、豆類(9%)、この辺がほぼ輸入に頼っている形なんですね。つまり麦とかトウモロコシ、大豆です。みんなが食べてる枝豆とか納豆は全部外国産！食卓の醤油も外国産！子供が節分に撒いてる豆も外国産！というワケです。(もちろん加工してるのは日本国内ですけど)

何故輸入に頼らざるを得ないのか？

じゃあ日本国内で大豆とか麦、ジャンジャン作ったらいいじゃんって思いますよね。いちいち外国から船で運ぶより、国産の方が流通コスト安いんですからどんどん売れるって思いませんか？でもやっぱりそうはいかないみたいなんですね。

まず水田で作るイネは面積あたりの収穫量が多く、麦と大豆はそれほどでもありません。お米の方がコスパがいいっていうことです。それに日本は山が多くてだだっ広い土地が少なく、温暖で雨が多い気候なので、どうしても水稲栽培の方が適しているんです。そういう背景があります。

更に拍車をかけているのは日本の洋食化、パン食などの増加です。ぶっちゃけ日本人が毎朝ご飯なら食料自給率は上がりますが、パンを食べたりご飯に味噌汁(味噌は大豆)をつけたりすると下がるワケです。近代でも、日本ほど食文化が急激に変化した国は珍しいそうです。みんなグルメですね。

また、日本は食料品の関税が低いので食料品を加工業者が輸入し易いという点も影響しています。

食料自給率は高い方がいいの？

高い方が良いんです。日本は2025年度までに、食料自給率(カロリーベース)を45%まで引き上げることを目標としています。

食料自給率が高いということは他国の輸入に頼らないということです。つまり極端な話、外国が戦争や天災で大変なことになっても、自国の食料は確保されます。それに世界の人口は増え続けています。もし『日本より小麦を高く買いますよ』という国がたくさん出て来ると、日本に小麦が入って来なくなってしまいます。そうするとパン屋さんが潰れます。困ってしまいますよね。

え？パンがなければお米を食べればいいじゃないって？お前はマリーアントワネットか！

食料自給率を上げる為には農家の方が日本人に需要のある作物を作って、また消費する側も食品ロスを起こさないよう、つまりご飯を残さないように上手に食べることが大事です。

それと農家の生活の保障も重要です。アメリカなどでは作物の保障価格と市場価格の差を直接補填してくれる制度があります。例えば、10キロ3000円で売れるはずの米が2000円でしか売れなくても1000円は国からもらえるということです。日本はこのように、政府が農家への直接支払を実施していないので作物の価格が高くなる傾向があります。いざという時の為にたくさん貯金しておかないといけませんからね。それに、昨今の高齢化も農家の減少に拍車をかけています。

まとめ

普段あまり着目しないのですが、日本の食料自給率事情を調べてみました。なかなか面白いですね。今日の夕食時にこの記事を思い出して、ご飯を美味しく食べて頂けると幸いです。ちなみに私はマクドナルドを食べます。