【まとめ】呪われている東京オリンピック2020(2021)

何故こんなことになってしまったんだ

あと2週間にまで迫ったオリンピック。しかし残念ながら4度目の緊急事態宣言がなされ、五輪はほとんどの地域が無観客で開催されることに決まりました。無観客ということでオーストラリアのテニス選手が不出場を表明したり、臨時列車の企画が白紙になったり、イルルの当てたチケットがゴミになったり、もう日本中で阿鼻叫喚の様相です。

今思えば、今期の東京オリンピックは『呪われてるんじゃないの?』って言いたくなるくらいトラブル続きでした。オリンピックがもたらすものは果たして幸福だったのか絶望だったのか。その結論を出すのはまだ早いですが、今回のオリンピックの事件をまとめてみました。

東京五輪の誘致成功と電通の贈収賄賂疑惑

2013年に東京オリンピックは誘致に成功し開催が決定しました。しかし、この背景には大手広告代理店の株式会社電通が暗躍していた疑惑がもたれており、フランス検察当局(スポーツ業界の汚職を調べるエキスパート)が調査しています。

具体的には、元々電通はIOC(国際オリンピック委員会)と仕事柄コネを持っており、日本を代表する形で、開催都市の決定権を持つIOCのメンバーへロビー活動(私的な政治活動)を行ったというのです。

この時、電通元専務の高橋治之氏は東京五輪誘致委員会から820万ドル(約8億9千万円)相当の資金を受け取ったとされています。いわゆるロビー活動の依頼料ではないかということです。また逆に、電通は招致委員会に6億円もの資金を寄付しています。

高橋治之氏はロイター通信のインタビューに対して、IOC委員だったラミン・ディアク世界陸連前会長(セネガル)にセイコーの腕時計やデジタルカメラなどの贈り物を手土産として渡したことを明らかにしています。ちなみにこの時セイコーに支払われている金額は500万円です。500万の時計を買って渡したということですね。また、ラミン氏は他にもいろいろと収賄の疑いがある人物です。

更に、招致委員会は11億円もの資金を海外のコンサルタント会社等に送金しています。送金した理由は『守秘義務上の理由で話せない』としており、用途は一切不明です。同じように、オリンピック組織委員会の会長を務めることになる森喜朗元首相が代表理事を務める非営利団体、「一般財団法人嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センター」にも約1億4500万円を支払っていることが明らかになっています。

このようにきな臭い金の流れが3000件以上口座には記録されており、東京五輪招致委員会がいかに『奔走』していたかが窺い知れるのです。もちろんIOCは中立性を守る為、独自のガイドラインにてこのような行動を制約しています。さもないと課金厨が一人勝ちするソシャゲみたいになっちゃいますからね。

公式エンブレムの盗作疑惑

他にも話題になったのが公式エンブレムの盗用疑惑。東京2020オリンピックのロゴデザインは当初、グラフィックデザイナーで多摩美術大学の教授でもある佐野研二郎氏が務めました。

しかしそのデザインが発表された後、ベルギーにあるリエージュ劇場のロゴと酷似しているとベルギー側から指摘が入り、物議を醸したものです。

左が盗用疑惑のあったロゴデザイン。右がベルギーのリエージュ劇場のロゴ。

結局盗用の事実は認められませんでしたが、連日の誹謗中傷に耐え切れず、佐野研二郎氏自ら利用の取りやめを申し出た上で、このロゴの使用は中止となりました。

利権まみれの新国立競技場

2013年に東京オリンピック招致に成功したことにより、以前より構想があった競技会場の準備が必要となりました。元々国立競技場は既に存在していましたが、施設の老朽化に伴い建て替えが必要だったのです。

ここでまた騒ぎになったのがその総工費。政府は当初予算を1300億円としました。これは旧国立競技場の解体費用を除きます。以下の図の通り、世界各国の用意した競技場はせいぜい高くても900億円程度です。この異様に高い金額の予算が当時『利権絡みじゃないか』と騒がれました。

世界の競技場は高くても900億円程度。

利権って言うのは要は政治家が儲かる仕組みのことですね。例えば、政治家が自分と仲良くしている土木業者に相場より高額で工事を発注出来るように裏工作します。土木業者は政治家に"お礼"をします。だから予算が高けりゃ高い方がいいっていう寸法です。

競技場のデザインについても、当初はザハ・ハディッドというイラク出身の建築家がデザインした、流線形で先進的な造形のものが採用されるはずでした。しかしそのデザインが特殊過ぎることから総工費が3000億円程度になることが分かり、予算削減案が提案されるも最終的には白紙に。結局は隈研吾氏によるデザインの案が採用され、当初予定されていたものと全く違う競技場になりました。

当初予定されていたザハ案の競技場。屋根は開閉式で流線形の近未来的なデザインである。
完成した隈研吾案の国立競技場。オリンピックのメリット『ゼロ』を体現していると揶揄されている(笑)

しかし、このデザインを採択したにも関わらず総工費は1500億円を超え、当初の予算を上回るものとなりました。それでも中身がまともなら良かったんですが、トイレが少ない、ウォシュレットがついてない、天井のダクトがむき出し、座席の間隔や通路がめちゃくちゃ狭い、などなど多数の問題が。

専門家が見るとかなり手抜き工事が目立つらしく、1500億円もの費用をかけた割りに中身がショボいというのは、相当な金額が利権周りや大手ゼネコンの中抜きに消えたんだろうと想像出来ますね。まさに日本社会の悪いところがモロに出た競技場です。

暑さ対策にアサガオ

東京オリンピックは真夏に開催されることになる為、マラソン競技などの暑さ対策が課題の一つになっていました。それに対して大会組織委員会の出した案は、視覚的に涼しいという意味でアサガオを全競技場の入り口に設置。このアサガオは小学生らが育てたものを使うとのこと。

「多くの子供達が大会に関わることにより大会全体の盛り上がりに寄与するほか、涼しげなアサガオ等の設置には視覚的な暑さ対策上の効果を期待しております」と説明するのは組織委員会の戦略広報課。まあ最終的には小学生が関わるどころか観客が誰も関われなくなってしまったワケだが。もっと言えばマラソン競技は最終的に東京で開催するのは不可能とされ、会場自体が北海道へ変更となりました。

もちろん、アサガオ以外にも給水場の設置など暑さ対策は別にきちんと用意されているのだが、発表された当時は『アサガオって…』とネットユーザーの冷笑を買ったものだ。

小池百合子都知事は「打ち水」なども暑さ対策として推奨していたが最終的に採用されなかった。

やりがい搾取のボランティア

東京五輪運営をサポートするボランティアスタッフの件でもひと悶着ありました。ボランティアは一般の中から応募する形で集められたのですが、その数は11万人。(大会ボランティア8万、都市ボランティア3万)

この応募条件というのが非常にハードルの高いもので、まず一日8時間の活動で、日数は10日以上(連続最大5日)、その間の宿泊施設や交通費用は全て自腹。予約も自分でやって来てねというスタンス。活動中の飲食物は支給されますが無給活動となるので、ホテル代のことを考えると収入はマイナスです。それに普通の正社員は10日連続で休むなんて無理です。

嫌なら申し込まなければいいッ!!ドンッ!!

さすがに交通費まで自腹は問題だと思って組織委員会から専用のプリペイドカード1000円を一律支給されることが決まったんですが、たった1000円ですから焼け石に水もいいところ。てかこれもやっぱりプリペイドカード会社との利権争いにしか見えませんね。

一応、ユニフォームなんかがもらえるんですが、医療ボランティアは当然ながら医療技術が必要な人員などに限られる上、海外客の対応の為に相応の語学能力も求められるケースがあるとして、一体誰が応募するねんってツッコミが入る騒ぎになりました。やりがい搾取なのでは?という声も。

更にここでも利権関係でどうしようもない業者に丸投げしたのか、ボランティア応募サイトがめちゃくちゃ分かりにくくて応募を断念する人も続出。一部では『ボランティア応募サイトは無理ゲー』なんて呼ばれました。

下水の中でのトライアスロン

トライアスロンはお台場の東京湾で実施される予定ですが、テスト大会を行ったところ参加者から『トイレのような臭いがする』と指摘されていました。それもそのはず、東京湾は合流式と言って下水の処理能力が大雨などでオーバーフローすると下水を未処理のまま東京湾に流す仕組みなので、まさにみんなのトイレ状態なのです。トイレみたいな臭いっていうか、トイレです。トイレアスロン。

当然ながら基準以上の大腸菌が検出され、水泳には適さないとされて来ました。イルルもお台場海浜公園は何度も行ったことがありますが、あそこで泳ごうなんてとても思えませんでした。(めっちゃゴミ浮いてるし)

結局これには『三重スクリーン』という汚水を分離する手法で改善を図るみたいですが、はてさてどうなることやら。大腸菌というのは大きな指標なだけで、ノロウイルスや腸チフスなど危ない菌も流れ込んでいる可能性がありますし、傷をしていれば破傷風になる危険性もあります。

2017年に構想があった『三重スクリーン』

森喜朗氏の組織委員会会長辞任

東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会評議会議長だった森喜朗元首相は、その流れのまま会長に就任しました。しかしお約束の失言を繰り返し、女性蔑視とも取れる発言をしてしまったことで事態は国際問題へ。

「これはテレビがあるからやりにくいんだが、女性理事を4割というのは文科省がうるさくいうんですね。だけど女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります。これもうちの「恥」を言いますが、ラグビー協会は今までの倍時間がかる。女性がなんと10人くらいいるのか今、5人か、10人に見えた(笑いが起きる)5人います。 女性っていうのは優れている所ですが、競争意識が強い。誰か1人が手を挙げると、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね、それでみんな発言されるんです。結局女性っていうのはそういう、あまりいうと新聞に悪口かかれる、俺がまた悪口言ったとなるけど、女性を必ずしも増やしていく場合は、発言の時間をある程度規制をしておかないとなかなか終わらないから困ると言っていて、誰が言ったかは言いませんけど、そんなこともあります。 私共の組織委員会に女性は何人いますか? 7人位おられますが、みんなわきまえておられます。 みんな競技団体からのご出身で国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりです。ですからお話もきちんとした的を得た、そういうのが集約されて非常にわれわれ役立っていますが、欠員があるとすぐ女性を選ぼうということになるわけです。」

引用元:wikipedia

これにより公式スポンサーからも批判や遺憾のコメントが相次ぎ、謝罪会見を開いたものの『おもしろおかしくしたいから聞いているんだろ』と発言するなどいわゆる逆ギレ会見を披露してしまい、オリンピックが間近に迫る2021年2月12日に会長を辞任。後任は元スピードスケート選手で参議院の橋本聖子氏が引き継ぐことになりました。

首相時代から失言の耐えない人であった。

グダグダな開閉会式プラン

オリンピックの開会式、閉会式の演出はMIKIKO氏が担当していました。有名なアーティストであるパフュームやBABY METALのダンス振付、演出をした人で、他にも星野源の『恋ダンス』なんかも担当しています。

MIKIKO氏が企画した開閉式はマンガ『AKIRA』のバイクが登場したり、スーパーマリオが登場したり日本の文化を余すことなく表現するもので、当初はIOC側もよくやってくれたと大絶賛だったようです。しかし詳細は不明ですがMIKIKO氏は担当を辞退。これには『何らかの理由で追放された』という声もありますがMIKIKO氏は理由を明らかにはしていません。

後任にはボスの缶コーヒーCMなどでおなじみの演出家である佐々木宏氏が就任することになりました。しかしこの佐々木氏も何を思ったのか『渡辺直美をブタの恰好で登場させよう』というプランをラインでスタッフと打診(どこまで本気だったか分かりませんが)した後、その情報が外部にリークされ辞任に追い込まれる格好になりました。

外部へ流出したライン画像。

結局、開催四カ月前という時期での辞任だったので、佐々木氏の更なる後任は配置しないことにし、そのまま突き進むことになりました。陣頭指揮を執る演出家が不在のままで大丈夫なんでしょうか。不安ですね。

直前での無観客決定

これはもう誰でも耳に入っているかと思いますが、日本政府及び東京都は開催直前になってコロナウイルスに対する4回目の緊急事態宣言を発令し、オリンピックの無観客開催を決定しました。

おかげで900億円の収益を見込んでいたチケットは全てパーとなり、協力したスポンサーも一切メリットがないという阿鼻叫喚の事態へ。同時に10万人も用意していたボランティアはほとんどいらなくなり、観客用に用意していた仮設テントなども全て無駄になりました。人命優先の為の判断とはいえ、判断がもう少し早ければ浮くお金もあったでしょう。

イルルが元々乏しいクジ運で何とか当てたチケットもパー。

チケット代金の払い戻しは大会終了後になるということですが、思いっきり時間がかかりそうですね。このように大赤字のオリンピックとなってしまったワケですが、赤字分の補填は東京都が負担する予定ということですから都民はたまったものではありません。ツケは都民の税金で賄われることになるんでしょうか。

さいごに

このように悪夢のようなオリンピックとなってしまったワケですが、間違いなく言えることはミュンヘンオリンピックのように歴史上に残る、『最悪のオリンピック』として未来永劫語り継がれていくということ。そしてその歴史に立ち会っている我々はある種貴重な体験をしていると言えるでしょう。

人生の中で、自国でオリンピックが開催されるというのはそう滅多にあることではなく、今回のオリンピックが『身近に見に行ける最初で最後のオリンピック』になる人は今生きている日本人の大半を占めるはずです。イルル自身も世界のトップアスリートを見に行けるというのはとても楽しみにしていましたから、残念でなりません。親孝行の為に年老いた両親を連れていく予定でした。

せめて、次回の冬季オリンピックまでにはコロナの猛威が収まっていて欲しいことを願うばかりです。

オレはいつでもそう。ぬか喜びしてばっかりの人生。運の無い男さ。