深海4000メートルで潜水艦が行方不明に

はるか昔に沈没した豪華客船を潜水艦で見に行こうというツアー。

その潜水艦が深海で消息を絶ち、乗り込んだ5名が安否不明となっています。

ツアーの内容

このツアーはオーシャンゲート・エクスペディションズという会社が企画したもので、深海約4000メートルに沈んでいるタイタニック号を見に行こうというもの。

タイタニック号は111年前に事故で沈んだ豪華客船であり、当時1500人以上の人が犠牲になっています。レオナルド・ディカプリオが主演で映画化したものが有名ですね。

ツアーの参加料金は約3500万円で、オーシャンゲート・エクスペディションズ自体の社長であるストックトン・ラッシュ、イギリスの大富豪探検家ハミッシュ・ハーディング、著名なフランス人ダイバーのポール・アンリ・ナルジョレット、パキスタンの実業家シャザダ・ダウッドと、彼の19歳の息子スレマン・ダウッドの5人が参加しました。

潜水艦について

潜水艦はNASAの技術支援を受けて作成されたもので、『タイタン』と呼ばれています。

長さ約 7 メートル、幅約 3 メートル、高さ約 2.5 メートルの小さな潜水艦です。巨人タイタンという名前の割には、5人が乗り込むのが精いっぱいなんじゃないでしょうか。

この潜水艦はカーボンファイバーの船体と、乗客と電子機器を結露から守るグラスファイバーの船体インサートで構成されており、リアルタイムの監視システムが圧力変化の影響を自動で分析します。また、この船の総重量は 10,432kg で、4 基の電気スラスターによって最大速度 3 ノットで航行できます。

観光客は、直接大きな窓から外を見ることができる他、外部カメラによって大型ディスプレイに映し出された周囲の様子を楽しむことができるらしいです。また、小さいながらもトイレがちゃんとついているとか。

この潜水艦がとてもユニークなのは、一般的なゲームパッドで操作できるところです。まるでオモチャみたいですね。(Logitechの F710 ワイヤレス PC ゲームパッドを使っているのこと)

潜水艦の酸素は丸4日分、つまり96時間は保てる仕組みになっているのですが、21日現在の時点では『残り40時間だろう』と推測されています。

助かる見込みはあるのか?

結論から言うと、絶望的ではないかと思います。

タイタンは過去3年間使われた実績がありましたが、度々通信障害を起こしていたらしく、今回も連絡を取るのが不可能になっています。元々無線やGPSは使えない仕様であり、音波によってテキストメッセージを送ることしかできません。

過去、1973年に76時間にわたって遭難した潜水艦が引き上げられたことがありますが、この時の深度は500メートル。今回は最大で4000メートルなので、もし見つかったとしても引き上げる手段はかなり限られます。

潜水艦はバラスト(重り)を外せば浮き上がるようになっています。しかし、すべて電子制御であった場合、電源が消失してしまえばそれも実行することはできません。

タイタニック号までは約8時間で行って戻ってくる予定だったので、これだけ長時間が経過しているとなると、何らかの事故(岩に引っかかるとか)に遭ったか、電源が消失している可能性が高いでしょう。

元イギリス海軍少将のクリス・パリー氏は「楽観的な見方では、潜水艇が海上との通信手段を失ったか、実際に不具合が生じたのか、潜水艇は活動を続けながら、母船との連絡が途絶えてしまった。もう一つの可能性は事故です。タイタニックの残骸に接触し、深刻な損傷を受けているのか。今の段階では分かりません」と語っています。

残り約40時間。潜水艦と乗組員は一体どうなってしまうんでしょうか。

ちなみに乗る時に『何らかの事故があっても責任は負わない』という契約書にサインするらしいだわさ…。