トンガ王国ってどんな国?

日本時間の1月15日午後1時10分ごろ、トンガの首都ヌクアロファから北に60キロあまりの「フンガトンガ・フンガハーパイ」と呼ばれる海底火山が噴火しました。

100年に一度、いや1000年に一度とも言われる大噴火で噴煙が半径260キロに渡って噴出。日本で言えば東京で噴火した火山の灰が名古屋や新潟に降り積もったぐらいの規模です。凄まじいですよね。

今日はこの被害を受けたトンガとはどんな国なのかまとめてみました。

トンガの地理と歴史

トンガは南太平洋、大体ハワイの南あたりに位置しており、東京からは8000キロ離れた場所にある国です。ポリネシア諸島のうちの一つで、国のイメージもハワイみたいな美しい南国を想像して頂ければと思います。

トンガに人間が住み始めたのは紀元前4000年頃だと言われています。当時やって来たのは東南アジアを拠点とするラピタ人。別に飛行石を持ってるワケではありませんが、長い間この島で文明を築いて来ました。

やがて大航海時代が訪れると、この時代のお約束よろしくジェームズ・クック(みんなも知ってるクック船長)がトンガにやって来てイギリスの保護国とします。まあ保護とは言えど実際は占領した上での支配ですね。銃を持っているイギリス人に槍とかナイフのポリネシア人が勝てるはずはないですから。

いつの時代も美しいトンガの海。

やがてイギリスは傀儡としてジョージ・トゥポウという人物を担ぎ上げ、それまで島を39代に渡って支配していた神聖王トゥイ・トンガの家系を放逐。完全にイギリスの息のかかった国へと変えたのです。

しかしイギリスの植民地化を受けたとはいえ、トンガは常に現地人によって国家運営されて来ました。現在のトンガ王もジョージ・トゥポウの正当なる子孫です。そういう意味ではイギリスの圧力を受け続けながらも自立した国家を保ち続けて来た珍しい国と言えるでしょう。

現在のトンガ

トンガは1875年に作られた憲法を遵守し続けており、未だ国民に王族、貴族、平民の階級制度が存在します。立憲君主制であり国王が強い権力を掌握。政治を担っているのは大部分が国王です。

こう聞くと封建的で前時代的に聞こえるかもしれませんが、ポリネシアの島々の中では比較的治安は良く、美しい海に囲まれた土地の上、カボチャやマグロが主な輸出品というノンビリした風土のせいか、2006年に公開された世界幸福度指数では70位でした。(ちなみに日本は90位)

トンガの人々。

トンガ人は遺伝的にガッチリした体系の人が多く、男性の平均身長は177cm、女性でも170cmあるそうです。足のサイズが30cm以上の人も多いとか。その体格を生かしてなのかラグビーが盛んで、ワールドカップにも何度か出場を果たしています。そんな牧歌的な島国です。

親日でも知られるトンガ

トンガはとっても日本が大好きな国です。長年、トンガは日本にカボチャとマグロを輸出しておりその収益が財政を支えているからです。トンガにとって日本とケンカするメリットは全くありません。国王や王族、政府要人が公式・非公式を問わず頻繁に訪日しており、4代目の国王なんかは7回も日本を訪れました。

日本にもトンガ出身の力士やプロレスラーがおり、特に相撲はトンガ本国でも親しまれているそうです。日本の国技まで流行っているなんて、なんだか嬉しいですよね。他にも、学校では日本のそろばんが義務教育に取り入れられていたり、選択科目で日本語を学ぶことも可能だそうです。

来日したトンガ王国首相であるフェレティ・セベレを歓迎する福田首相(2008年)

逆に、理由は良く分かりませんが中国には非常に反感的で、トンガ人は中国人を嫌う傾向にあります。『地球の歩き方』でも「中国人と間違えられると暴行を受けるケースがあるので、早めに日本人だと伝えましょう」とアドバイスしています。同じアジア人相手でもかなり扱いが違うみたいですね。

震災時も義理堅かったトンガ

2011年3月、東日本大震災が日本で発生した折、トンガは手厚い支援をしてくれました。里芋などを被災者に送った他、小学校の子供たちが募金を集めて大使館を通じて寄付。

その他、トンガ・日本帰国留学生会は、活動資金集めを目的にイベントを開催する予定でしたが、東日本大震災の発生を受け、イベントで得られた資金の半分を義援金として寄付することを決めたと言います。

当時のニュースではあまり名前が出ませんでしたが、今回起きた噴火の件を通じてこの時のトンガの親切さは改めて注目されています。

寄付金を贈るトンガの小学生たち。

最終的にトンガから日本へ送られた義援金は約900万円となりました。「なんだ、900万ぽっちか」と思われるかもしれませんが、トンガの人口は大体10万人なので、これはおおよそ全国民が一人100円づつ寄付してくれた計算になります。

トンガは年収が大体30万~40万くらい。公務員でも60万くらいです。月収じゃないですよ?年収が60万円です。そう考えると、900万円という義援金はいかに大金かお分かりになるでしょう。

トンガの人たちはこの時、「少しでも被災者の方の役に立ちたい」と語っています。感謝の言葉しかありませんね!

トンガの噴火について

冒頭にも記載した通り、今回のトンガの噴火はすさまじい威力でした。海底火山の上部にあった陸地は噴火の影響で消えてなくなってしまったそうです。火山灰の影響は非常に広範囲に及び、300キロ離れたオーストラリアまで届いたと言います。

それに加えて、空港は灰が降り積もった為に利用することが出来ず、インターネットも海底ケーブルが破断してしまったので使うことが出来ないそうです。その為、世界の国々は今、トンガがどんな状況なのか詳しく把握出来ていません。衛星写真で現地の様子を確認するくらいです。

大きな津波も押し寄せた為、現在は死者3名と報道されていますが、今後はもっと死亡あるいは重傷者の数は増えて来ると思います。何にせよ電気などのインフラも停止している為、国家として壊滅的なダメージを受けたことは間違いありません。

衛生写真で撮影されたトンガの様子。

各国の軍隊が出動し支援に当たっていますが、我々も東日本大震災の時に手厚いサポートをしてくれたトンガの人々に対して何か『恩返し』が出来ないか考える機会でしょうね。

寄付する時は信頼出来るルートでね!