『奢る男』は好かれるのか?
私の親愛なる友人ハンサムさんがなかなか興味深い記事を書いていました。
私なりに読み解いた主旨を述べると、奢ってくれない男性に対してそれ自体がイヤなのではなく、奢らないのに男女間の関係を求めて来るのがイヤ、ということかと思います。逆に言えば男性が奢らないケースというのは『あなたに男女間の関係は求めていませんよ』という暗喩になるワケですね。
また、彼女はレストランなどでの食事とホテルに入る際の局面を分けて考えています。
単なる食事であればまだ許容範囲ですが、性行為のリスクは女性側の方が大きいのですから、最低限ホテル代は男性側が奢ることで信頼を築こうとする姿勢を見せて欲しい、ということですかね。間違ってたらすまんな!
つまるところ、女性に対してアプローチをかける場合、お金を出す男性の方が好ましく思われるという仮説になるかと思いますが、これについて私見を書いてみたいと思います。
ケチなヤツはモテない
当たり前っちゃ当たり前ですが、女性に好かれる男性というのは対人コミュニケーションがスムーズで、道徳的であり、暖かみのある人間です。これは日本に限らず世界共通だと思います。
心理学者の Wang & Krumhuber はお金に対する態度と物象化(人をモノのように扱う傾向)を研究し、その結果、いくつかの下位尺度が正の関係を持つことを証明しました。
具体的には、お金に対して強迫観念を持っている傾向、お金を権力の象徴とみなす傾向、お金に対して何らか不安な傾向を持つ場合、物象化傾向が強いということがわかりました。
めっちゃ砕けて言うと金にうるさいヤツほど他人をモノ扱いする傾向が強い、ということです。つまり冷たい。これは貧乏・裕福に関係なくですね。金持ちでもケチはいっぱいいます。
また、Vohs, Mead, & Goode はお金に対するプライミング(刷り込みみたいなもの)実験を行いました。
お金の画像を延々と見せた人と、お金以外の画像を見せた人に対して同じ行動局面を与え、どう差異が出るか観察したのです。
その結果、お金の画像をたくさん見た人は、目の前で困っているサクラを助けない傾向がみられました。更に、手持ちのお金を寄附する割合が低下し、読書など一人で過ごす時間が増加する傾向がみられました。つまり、お金に執着するほど対人関係が抑制されることがわかったのです。
1円単位で割り勘したがるような男性は何らかお金にコンプレックスを持っていることは想像に難くありませんから、円滑な対人コミュニケーションを取ることができない、すなわちモテない傾向が強い男性ということです。
引用元:https://woman.excite.co.jp/article/love/rid_Aikatu_719786/
やっぱり奢る男ほどモテるのか?
じゃあ、やっぱり財布からバンバン万札出してくれる恵比寿様のような男性がモテるんでしょうか?
調べてみたところ、そうでもないようです。
渡辺(東北公益文科大学)は大学生を対象にお金に関連する行動について調査を行い、10の行動を用いたクラスター分析から大学生を次の4類型に分類しました。
類型 | 内容 |
やりとり活発群 | 他者との金銭のやりとりが活発 |
やりとり抑制群 | 他者との金銭のやりとりが抑制的 |
全般的抑制群 | 全般的にお金に関連する行動が少ない |
接近・不節制群 | お金に接近的でありながら,お金をコントロールできていない |
そして更に、この4つの類型をモデルとして刺激文を作成し、男女別に『(飲み会などの)幹事』、『友人』、『恋人』、『結婚相手』として選ぶならどれが良いかを質問紙法にて分析しました。
各刺激文は以下の通り。皆さんは『恋人』として選ぶならどの人物がいいですか?ゼヒ考えてみて下さい。
A~Dはあなたと大学で出会った友人です。いまは知り合って1カ月が経ったところです。
A~Dと知り合って1カ月のうちに,あなたはA~Dが次のような人物であることに気づきました。
Aはアルバイトに熱心です。Aは,よく人からお金を借りたり,人にお金を貸したりしています。
また,衝動買いをすることがあります。みんなで食事をすることもありますが,その場合は割り勘にするのが好きなようです。
一緒に出かけた時に,何度か道で募金箱を持った人を見かけましたが,よく募金をしていました。
Bは,人からお金を借りたり,人にお金を貸したりはしません。
また,衝動買いをしたりすることがなく,計画的にお金を使っているようです。
さらに,みんなで食事に行ったときなどに,たとえBは値段の高いお店に行きたかったとしても,持ち合わせの少ない人に合わせて店を決めても文句を言いません。
Cは,アルバイトをしていませんし,アルバイトを探してもいないようです。
Cは,人からお金を借りるようなことはありません。みんなで食事に行くこともありますが,Cは割り勘にするのはあまり好きではないようです。
また,どの店に食事に行くか決めるときも,Cは持ち合わせの少ない人に合わせずに,値段の高い店に行きたいと言うこともあります。
あるとき,一緒に歩いているときに,道端に小銭が落ちていましたが,Cは見向きもしませんでした。
Cの口から,お金に関する話題が出たことはありません。
Dは,事前に考えずに,無計画にお金を使ってしまうことがあるようです。
みんなで食事に行くこともありますが,どの店に食事に行くか決めるときも,Dは持ち合わせの少ない人に合わせずに,値段の高い店に行きたいと言うこともあります。
あるとき,一緒に歩いているときに,道端に落ちていた小銭を拾って,自分の財布に入れていま
した。
また,一緒に歩いているときに何度か,募金箱を持った人を見かけましたが,Dは募金したことがありません。
Dはよく,人に対してバイト代や貯金の額を尋ねるなど,お金の話をしています。
さて、どうでしょう。
恐らく恋人にするならBさんと考えたのではないでしょうか。少なくとも渡辺の研究ではそのような結果になりました。
面白いのは同性・異性関係なく同じような結果になった点です。
ほとんどの人がお金に対してやりとり抑制群のBさん、次いでやりとり活発群のAさんを好ましい・誠実な人物だと判断しました。
刺激文からすると裕福でめっちゃ奢ってくれそうなのはCさんですよね。『割り勘が好きではない』と唯一明記されている人物ですし。反面、Bさんはあんまり奢ってくれそうな印象はありません。
でも、結婚相手及び恋人として候補に選ばれたのは綾鷹Bさんでした。
これについて渡辺は、Aは割り勘を好む金銭感覚と、募金をよく行うという向社会的な活動。Bはお金の貸し借りをせず、さらにお金の使い方を他人に合わせられる行動が誠実なイメージにつながったのではないかと考察しています。
まぁ、研究対象が大学生だけなので視野は狭いですが、チョット想像してみるとわかりやすいかなと思います。
例えバンバン奢ってくれて高い店連れてってくれる男性でも、『昨日パチスロで10万スっちゃった~』とか『貯金いっぱいあるからニートしてるんだ~』というような人を恋人・結婚相手として選ぶでしょうか?
奢ってくれる男性というのは”入り口”として好印象を得られるかもしれませんが、総合的には財布のヒモが固くて無茶な使い方をしない。つまり金銭感覚がしっかりしている男性が最終的に選ばれるということです。
なんだか矛盾した結論のようにも思いますが、少なくともハッキリ言えるのは『お金の使い方が対人関係について重要な機能を果たす』ということですね。
引用元:https://trilltrill.jp/articles/2760080
結論
奢る奢られる論争というのは一口に結論を述べるのは難しい問題です。
例えば中国では割り勘という仕組みはほとんどありません。女性は財布に手をかけることすらしないです。同性同士でも『ここは出すから、次はあなたが出してね』と持ち回りで払うのが基本です。
飲食店を出る時に『会計は別々で』というと『は?』みたいな顔されます。(私の中国語が下手だった可能性もありますけど)
また、日本国内でも関西より関東の方が割り勘払いの度合いが高いという情報もあります。そういった地域差や年代別の傾向も総合的に勘案しないといけませんね。
しかし今回の分析から考察できるのは、『お金にケチな男性ほど対人コミュニケーションをうまく取れない(=モテない)傾向が強い』ということ。
そしてそれ以上に、例えバンバン貢ぎまくってくれるような男性でも『金銭感覚がしっかりしていないヤツは恋人・結婚相手に選ばれない』ということ。
結論、『いつも気持ちよく奢ってくれるけど、散財するようなことはせず、身の丈に合ったお金の使い方が出来る男性』が一番グッドということなんじゃないでしょうか。難しいなオイ!
まぁ、ハンサムさんの提唱する『リスクの大小』にはイマイチ絡めていませんが、彼女の提唱した『お金の使い方が信頼関係構築について重要な機能を果たす』というのは間違いないかと思いますね。
でもラブホはさすがに男が金出そうな!
最近のコメント