日本でもっとも危険な山岳ランキング

2024年6月に警視庁から発表された資料では、2023年に発生した山岳遭難件数が統計開始以降過去最多となりました。

原因については様々ですが、主にコロナ明けでアウトドアスポーツが流行した為だと言われています。

一体どこでそんなに遭難が発生しているのかまとめてみました。

1位・長野県

堂々たる1位は長野県。件数は284件で、37人の死者、4人の行方不明者を出しています。

うち、一番件数が多いのは八ヶ岳連峰やつがたけれんぽう赤岳あかだけ権現岳ごんげんだけなど上級者向けの山が連なる山岳ですね。

その後に後立山うしろだてやま槍穂高やりほだかと続き、遭難件数は八ヶ岳に劣るものの、一番多い死者数を出しています。

総じて、長野県の北アルプスはかなり危険度の高い山々だと言えるでしょう。

特に冬季ともなれば、その難易度は格段に上がるようです。

2位・東京都

意外にも2位は東京都。件数は205件で、11人の死者を出しています。行方不明者は0人です。

最高峰の雲取山くもとりやまでもやっと標高2000メートルなのに、なぜこれだけ件数が多いのでしょうか。

それは単純に、都心の人口の多さが考えられます。

登山のプロが一年に一回登る3000メートルの山と、一日に100人の素人が登る300メートルの山。

例として極端ですが、遭難件数が多いのは圧倒的に後者でしょうね。

初心者向けとして有名な高尾山たかおさんは標高わずか599メートルにも関わらず、毎年100件以上の遭難が発生しています。

熊鈴なんてつけてたら『やたら本格的な装備ねw』って笑われしまうような山ですが、だからといって、スカートやサンダルで挑むのはNGですね。

3位・北海道

3位は北海道。件数は192件で、18人の死者、2人の行方不明者を出しています。

冬季には非常に厳しい気象条件が発生する山々で、『バックカントリー』と呼ばれる管轄外の地域でスキーを楽しむ人が多いのも一因なようです。

一番遭難件数と死者が多いのは手稲山ていねやま。親しみやすいイメージがある為か、多くの事故は札幌近郊で発生しています。

また、登山道がほとんど整備されていない日高ひだか山脈も難易度が高く、氷河に削り出された鋭い稜線を渡り歩くのはかなり危険なそうです。

4位・山梨県

4位は山梨県。件数は155件で、19人の死者、1人の行方不明者を出しています。

あ~ここで富士山か~と思いきや、その大部分は南アルプスで発生しているそうです。

日本第二位の標高を誇る北岳きただけ間ノ岳あいのだけあたりですね。

世界一位のエベレストより世界二位のK2の方が危険…というのと同じ理由でしょうか。

それに続いて、大菩薩だいぼさつ道志山どうしさん系で多くの事故が発生しています。

もちろん富士山でもそれなりに発生しており、団体ツアー客が遭難すると救出が困難となるようです。

5位・神奈川県

5位は神奈川県。件数は151件で、11人の死者、1人の行方不明者を出しています。

5位でさえも単純計算で、2~3日に一回遭難が発生していると考えると多いですね。

神奈川といえば丹沢山たんざわさん系ですが、最高峰の蛭ヶ岳ひるがたけあたりではなく、東京寄りの大山おおやまで大多数が発生しているそう。

大山は高尾山と同じく、初心者の入門用として紹介される山です。

しかし階段の傾斜がキツくガレ場も多くあり、しっかりした装備でないと危険なことには変わりありません。

「ケーブルカーもあるしスニーカーで大丈夫かな~」とか、このあたりの意識の違いが遭難事故に繋がってしまうのでしょう。

遭難の原因

警視庁の発表によると、遭難した人たちの主な原因は、道迷いが36%、転倒が17%、滑落が16%となっています。その後には病気、疲労と続きます。

また、年齢別に見ると40歳以上が約80%、更に60歳以上がそのうち半数を占めています。

つまり中~高齢者の方が道に迷って遭難するというケースが多いワケですね。

これに対し警視庁は、常に地図とコンパスを携帯するように呼び掛けています。

危険な山とは

単純な危険さだけで言えば、日高山脈のような上級者向けの山がトップだと思います。

しかし、こうして眺めていると、それほど技術力が求められない、むしろ初心者向けと紹介されている山々で多くの遭難が発生している印象を受けます。

低山はどうしても気楽な気持ちで挑んでしまいますが、以下のようなデメリットもあります。

  • 人気が無い低山は情報が少なく、山の状況を把握しづらい。(前日の大雨で通行不可など)
  • 農道などの生活路が多くあり、迷いやすい。
  • 百名山のように人気がない山は登山道が整備されておらず、荒れがち。
  • 森林限界より高度が低いと樹木で覆われ、視界が確保しにくい。
  • 標高が低いほど気温が高いため、高温多湿で体力が奪われがち。
  • 環境が過酷な高山より多くの動物がおり、スズメバチなど危険生物も。
  • 気軽なイメージがあり、日帰り登山こそ気が緩みがち。
YAMA HACKより

また、これも想像には難くないですが、グループ登山より単独登山の方が悲惨な結果に繋がるケースが多いです。

初心者が登山をする際は、なるべく経験者と一緒に行動した方が良さそうですね。

とうわけで天覧山にでも行ってくるんだわさ