【PS5】サイレントヒル・ショートメッセージ感想&考察

2024年2月1日にリリースされた無料のサイコロジカルホラーゲーム。

PSストアから無料でダウンロードできます。

簡単な攻略

攻略といっても、詰まるようなところはほぼないです。

基本的には一方道で、部屋内にあるドキュメントを全部読むと次の部屋への道が開けます。

トロフィーも存在しないので"取りこぼし"のような要素もなし。

ただ、ラスト周辺の追いかけっこだけはかなり難しいので攻略動画を見た方が良いかもしれません。

感想

かなりぶっこんで来たなあという作品ですね。

途中のムービーが実写というのもビックリしましたけども、切り込むテーマが"現代の若者の苦悩"となっています。

学校でのイジメやSNSの誹謗中傷、思春期ならではの繊細な感情。

そういったものを赤裸々に描いており、従来のサイレントヒルシリーズに比べると大分メッセージ性が強いです。

「これ18歳未満プレイ禁止にした方がいいんじゃないの」と思うくらい、辛辣で憂鬱な物語が進みます。

開発元インタビューによると「無料作品じゃなければできなかった」とのことで、かなりセンシティブな内容になっております。

メンタルが弱い方は絶対やらない方がいいでしょう。

考察

(注意:ネタバレあり↓)

    登場人物について

    • アニタ
      本作の主人公。引っ込み思案で、シンママの娘。
      意図的かどうかは不明だが、黒髪ロング&メガネでアメリと見た目がよく似ている気がする。
      マヤの生き方やグラフティに強く憧れており、自分よりマヤと仲のいいアメリに嫉妬するような素振りが見えるが、実はアニタはアメリの方を大事に思っており、マヤに嫉妬の感情を抱えていたのだった。
      その結果、マヤが書いたアメリ宛の手紙をこっそり隠した意地悪が元で、マヤの飛び降りに決定打を与えてしまったというトラウマ(罪の意識)を抱えている。
      また、SNSにも敏感であり、フォロワー数を増やす為に無理して自撮りをアップロードしたり、自分よりフォロワー数の多いマヤを羨ましがるなど、陰キャ特有の気質を持っている。
      サイレントヒル現象と呼ばれるものに陥っており、廃墟のマンションを半年以上さ迷っていた。
      何度も屋上から飛び降りるが、その度に時間がループして同じことを繰り返させられている。
      しかし3周目では(おそらく過去に飛び降りた)自分の遺体を発見することから、肉体が蘇生しているのではなく再構築されているのかと思われる。
      また、目覚める時に一瞬目が赤く光るのは、後述の"呪い"のせいではないだろうかと推測。
    • アニタの母親
      アニタとその弟の母親。
      アニタの祖母は毒親であり、アニタの母親は虐待を受けて育てられた。
      その為か「自分の子どもに同じことはしたくない」と決意表明する女性だったが、彼氏と関係を保つ上で段々子どもが邪魔になり、クローゼットに閉じ込める、ゴミ屋敷に放置するといったネグレクトを始めてしまう。
      結果、アニタの弟は死亡(衰弱死?)。母親は遺体を冷蔵庫に隠す。
      その後、幼少時のアニタが近隣に助けを求めたことでそれが発覚し、母親は逮捕されている。
      声だけであまり露出がないが、3周目の鬼ごっこ中、スマホに一瞬だけ顔が映る。
      アニタの母親はこの虐待癖(?)のことを"呪い"と表現しており、アニタもマヤに行った行為について「私にも呪いが遺伝している」と説明する箇所がある。
    • アメリ
      アニタの幼馴染であり、親友。
      アニタとは違い活発な性格なようだが、マヤに憧れているのは同じ。
      大学に合格し、上京することがすでに決まっている。
      これをアニタは「自分を置いてどこかに行ってしまう」と疎ましく思っている様子。
      アニタ自身も大学進学を勧められているが、「頭が良くないから」と否定していることでその気持ちに拍車をかけている。
      作中、父親の会社が倒産したことで大学進学がご破算になる少女のエピソードが見つかるが、おそらくアメリとは別人の話だと思われる。
    • マヤ
      本作のキーパーソン。
      日本人の見た目だが、日系4世という設定。(公式より)
      サクラをモチーフにしたストリートアート(グラフティ)で一世を風靡しており、死亡時に新聞で取り上げられていることから、かなりの有名人だったと思われる。
      しかし有名人特有のアンチが大勢おり、学校でも執拗なイジメを受けていた。それを苦にマンションから飛び降りてしまっている。
      WITCH(魔女)と揶揄されていることから、背景にマヤの母親の存在があると推測。
      アニタに死のループを体験させることで絶望を与えているのかと思いきや、実はアメリと同様にアニタのことも大切に想っており、最後にそれに気づかせることが目的だったと思われる。(見つけて、の連呼)
      なお、作中にスケッチブックで描かれているが彼氏がおり、18歳という若さでありながらその子どもを妊娠していた。(作中に妊娠検査薬の描写がある)
      登場するグラフティに新たな命の芽生えを肯定的に描写するものがあり、妊娠自体は苦ではなかったようだ。
      しかし、「彼との繋がりが切れた」というメモが残されており、何らかの事情で流産してしまったものと思われる。
      また、途中で襲ってくるクリーチャーは、桜に身を包んでおり、足元が若い女性の恰好であることから、アニタが投影した「自分を責めるマヤのイメージ」なのではないかと思う。
    • マヤの祖母
      アニタらの暮らしていたケッテンシュタットでは"商機を見通すことの出来る極東の魔女"がおり、町の発展に大きく寄与したとの情報がある。これがマヤの祖母であると思われる。
      しかしその後に大きな火事があり、その時に病院から飛び降りてしまっている。原因は不明。
      マヤ自身も魔女と呼ばれイジメられていたことから、おそらく何らかの力を祖母から受け継ぎ、超常的な能力を発揮することが出来たのではないかと思われる。(それはグラフティの才能として開花したのか?)
      この魔女や火事といったキーワードはサイレントヒル1にも登場する。

    サイレントヒル現象について

    本作の舞台はドイツのケッテンシュタットという都市であり、サイレントヒルではない。

    サイレントヒルは1にて召喚された"邪神"と呼ばれる、明確な人外の存在によって一帯が異界化してしまったのがそもそもの始まりで、それ以降、邪神が倒されてからも"訪れる人のトラウマ倍化装置"としてシリーズ作品が続いているのが現状。

    では、アメリカのサイレントヒルから遠く離れたドイツにて、なぜ異界化が発生したのだろうか。

    恐らくこれはマヤの祖母の代から続く"魔女の血"のせいかと思われる。

    サイレントヒル3でも、主人公ヘザーは自身に流れる魔女の血のせいで、サイレントヒルとは関係ない場所で様々な怪異に見舞われている。

    これと同じように、マヤの家系によってケッテンシュタット自体がサイレントヒル化してしまったのではないかと思われる。

    となるとマヤの祖母の家系はサイレントヒルと何か関係があるのか気になるところだが、もしかするとヘザーと何らかの血縁関係があったりするのかもしれない。(それにしては時系列が合わないが)

    エンディングの解釈について

    アニタとアメリがそっくりなので、双子説や二重人格説も考えたが、たーぶーんそれはないんじゃないかなという感想。

    学校のロッカーが別々だし、同一人物であれば「アメリだけ大学に行く」というのが辻褄が合わない。

    作中ではシンママで貧乏なアニタが印象的に描かれているので、大学に行く資金的余裕のあるアメリと対称性が失われてしまうから。

    素直に考えれば、実はマヤがアニタのことも大事に思っていたことに気づき、自身の罪を認め、一度は「マヤに謝罪しに行く」と飛び降りをしようとするが、アメリに引き留められて自分を許す。

    その結果、異界化が解けて本来のケッテンシュタットに戻れる(タイトル画面の変化)という流れかと思われる。とっても救いのあるラストでほんと良かった。

    そもそもサイレントヒルは自分に何らかの罪悪感やトラウマを抱える者が化け物じみた世界に見える空間であり、それらの経験を持たない者、またはそれらと向き合い、自分を許すことが出来た者にはただの寂れた町なのである。(2のローラがいい例)

    その他気になったところ

    最後の脱出口である扉にかけられたいくつものチェーンや、周回を繰り返すことで少しづつ大きくなる「穴」の絵など、サイレントヒル4と類似する点がある。

    これはただモチーフとして取り上げたのか、それとも続編が4寄りになる示唆なのだろうか。

    また、キーパーソンのマヤが日本人の女優で、実写ムービーを採用したところも興味深い。

    これは単にコストカットの為という解釈も出来るが、続編の「サイレントヒル f」は1960年代の日本を舞台にしていることが公表されているので、間違いなくマヤと絡んだ何かが埋め込まれることだろう。(マヤの祖母が登場か?)

    ビックリさせる要素は少ないし、ホラー要素はそんな強くはないのでおススメだわさ