シークレットヒトラー ルールブック(日本語訳)
正体隠匿系ボードゲーム『シークレットヒトラー』の日本語訳ルールを記載。
公式サイトが配布しているものを翻訳しました。少々私なりに意訳・加筆してます。
コレ日本語版は永遠に出ないでしょうね…。ヒトラーとかのモチーフは日本企業が取り扱うの嫌がりますからね…。
ゆえにプレミアがついててなかなか手に入らないゲームですが、結構太っ腹な企業で、ダウンロードできる無料版をこちらで配布しています。無料版は印刷と加工の手間がありますが、用意して本記事を読めばすぐに遊べますよ!
ゲームのテイストとしては明らかにレジスタンス・アヴァロンにオマージュされており、アヴァロンの亜種という印象です。アヴァロンが神ゲーなので面白くないワケがない、多分。
ゲームの世界観
あなたはそれを見つけられるか、止めることができるか…?
時は1932年、場所は第二次世界大戦前のドイツ。『シークレットヒトラー』では、プレーヤーは脆弱な自由主義政府をまとめて結束主義政府の台頭を食い止めようするドイツの政治家になる。
ただし、気を付けたまえ。あなた方の中にはファシストが潜んでいて、しかもそのうちの1人はヒトラーその人なのだ。
内容物
- 法案カード 17 枚(リベラル党 6 枚、ファシスト党 11 枚)
- 秘密役割カード 10 枚
- 所属政党カード 10 枚
- 封筒 10 枚
- 投票カード 20 枚(賛成 10 枚、反対 10 枚)
- 選挙トラッカーマーカー 1 つ
- リベラル党/ファシスト党ボード 3 枚
- 大統領プレート 1 つ
- 首相プレート 1 つ
概要
ゲームの開始時、各プレイヤーは、リベラル、ファシスト、またはヒトラーの3つの役割が密かに配布されます。リベラルはリベラル陣営、ファシストとヒトラーはファシスト陣営です。リベラルは過半数を占めていますが、誰が仲間であるかはわかりません。
ファシストは目標を達成するため、秘密裏にリベラルを妨害する必要があります。その中でもヒトラーはファシストチームの中心的人物です。ファシストは最初からヒトラーが誰か、また仲間は誰かを認識しています。しかし逆に、ヒトラーはファシストが誰かわからないので、推測しながらゲームを進める必要があります。
※プレイヤー数が少数(5~6人)の場合のみ、ヒトラー役も誰がファシストなのか知ることができます。
各陣営の勝利条件
リベラル
- 5回、リベラル派の法案を可決させる。
- ヒトラーを処刑する。
ファシスト
- 6回、ファシスト派の法案を可決させる。
- 3回、ファシスト派の法案が可決された後、ヒトラーを首相に任命する。
準備
- プレイヤー人数に対応したファシスト党ボードを、リベラル党のボードと一緒に並べます。
- 法案カード 17 枚をシャッフルし、リベラル党ボードの左側に裏向きに置いて山札とします。リベラル党ボードの右側は捨て札置き場です。
- プレイヤー人数に応じた役割カードを準備します。(後述)
- プレイヤー人数分の枚数の封筒を準備し、それぞれに準備した役割カード 1 枚、役割に対応した所属政党カード(リベラル党員ならリベラル党、ヒトラーかファシスト党員ならファシスト党)1 枚、賛成と反対の投票カード 1 枚ずつを入れます。
- 封筒をシャッフルし、各プレイヤーにランダムに 1 つずつ配ります。
- 各プレイヤーは自分の封筒を開け、こっそり自分の役割を確認します。
- 最初の大統領候補をランダムに 1 人選び、そのプレイヤーに大統領と首相の両方のプレートを渡します。
- 5~6人なら以下の手順を実行します。
- 全員、目を閉じます。
- ファシスト党員とヒトラーは目を開け、互いを確認し、その後再び目を閉じます。
- 間を置いてから全員が目を開けます。
- 7~10人なら以下の手順を実行します。
- 全員、目を閉じます。
- ヒトラーは目を閉じたまま、親指を立てます。(よく見えるように)
- ヒトラー以外のファシスト党員は目を開け、互いを確認し、親指を立てているヒトラーも確認します。
- 間を置いてから全員が目を開けます。
- 選挙トラッカー(リベラル党ボード下)の一番左のスペースに選挙トラッカーマーカーを置きます。
プレイ人数 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
リベラル | 3 | 4 | 4 | 5 | 5 | 6 |
ファシスト | 1+H | 1+H | 2+H | 2+H | 3+H | 3+H |
進行
『シークレットヒトラー』はラウンド単位で進行します。各ラウンドではまず政府を成立させるための選挙を行い、その後に法案を成立させるための立法を行い、最後に政府の権力である独裁行動を実行します。
選挙フェーズ
大統領候補の移動
(2ラウンド目以降の)ラウンド開始時、大統領プレートを時計回りに隣のプレイヤーに渡します。そのプレイヤーが新たな大統領候補になります。
首相候補の指名
大統領候補は自分以外のプレイヤーの中から首相候補を 1 人選び、首相プレートをそのプレイヤーに渡します。この時、誰を選ぶかプレイヤー間で自由に議論をしてかまいません。
尚、前ラウンドで政府として信任された大統領と首相は「任期満了」とみなされ、首相候補として指名できません。(指名されても不信任だった場合は改めて指名できます)
例外として、プレイヤー人数が5人以下の状態なら、前ラウンドで信任された大統領を首相候補として指名することができます。
前ラウンドの役割 | 首相指名の可不可 |
大統領(信任された) | 不可(プレイ人数5人以下の状態なら可) |
首相(信任された) | 不可 |
大統領(不信任) | 可 |
首相(不信任) | 可 |
なし | 可 |
投票フェーズ
大統領候補と首相候補が決まったら、プレイヤーは自由に議論を行い、投票を行います。
各プレイヤー(大統領・首相候補を含む)は自分の投票カードを 1 枚選んで伏せて置き、全員が投票カードを選んだら同時に公開します。賛成が過半数(例えば人数10人なら6人以上)なら信任、それ以下の場合は不信任となります。
不信任だった場合
不信任の場合、大統領候補は大統領プレートを時計回りに隣に渡し、選挙トラッカーマーカーを 1 スペース右側に移動します。
もし 3 回連続で不信任になり、選挙トラッカーのマーカーが右端に来た場合、国家は長期の無政府状態で混乱に陥ります。法案の山札の一番上を公開し、無条件にそれを成立させます。国民の暴動が起きたイメージです。
この法案による独裁行動は実行できず、次のラウンドでは任期満了プレイヤーが存在しなくなります。次の選挙フェーズでは全プレイヤーが首相候補に指名可能になります。
この時点で法案の山札が 2 枚以下になっている場合、捨て札置き場を山札に加えてシャッフルし、新たな山札にしてください。新たな法案カードが表向きに置かれたら、選挙トラッカーはリセットされます。
信任された場合
この時点でファシスト党法案が 3 つ以上成立している場合、新たな首相がヒトラーであるかどうかを確認します。もしヒトラーであった場合、この瞬間にゲームが終了し、ファシスト党側が勝利します。
そうでない場合、ゲームを続行し、立法フェーズに移ります。
立法フェーズ
大統領と首相が決定し新政府が樹立されたら、協力して秘密裏に新たな法案を成立させます。
大統領は法案の山札の一番上からカードを 3 枚引き、それらをコッソリ確認し、1 枚を選んで裏向きに捨て札置き場に捨てます。
大統領は残った 2 枚のカードを裏向きに首相に渡します。首相もまたコッソリこのカードを確認し、1 枚を裏向きに捨て、残り 1 枚の法案を表向きにして成立させ、対応するボードの空いている最も左のスペースに置きます。
この間、大統領と首相は一切コミュニケーションを取ってはいけません。会話もジェスチャーもダメです。また、ゲーム性を損なうので大統領や首相が法案をランダムに選ぶことも認められません。捨てた法案カードは誰にも公開されませんが、後で大統領と首相へ口頭質問するのは自由です。(大統領と首相は当然、ウソをついて構いません)
※すでにファシスト派の法案が5つ可決されており、後述の『拒否権』を発動した場合のみ、首相は立法せずにカードを全て捨てることができます。この場合は拒否権の発動について首相と大統領が言葉を交わすことが認められます。ただし、拒否権発動の申告とその可否についてだけであり、議論をしてはいけません。
独裁権フェーズ
立法フェーズが終わり、もしファシスト党の法案が可決された場合、進行具合によって大統領は以下の独裁権を発動します。この独裁権は次ラウンドに移る前に、必ず行わなければなりません。拒否したり、持ち越すことはできません。
※それぞれどのタイミングで何の独裁権を発動できるかは、ファシスト党ボードに書いてあります。
忠誠の調査
「我が権限において(プレイヤー名)の忠誠を調査する」と述べ、他プレイヤー1人の所属陣営カードを見ることができます。口頭でその内容を他プレイヤーに伝えることは自由です。もちろんウソをついても構いません。
特別選挙の宣言
「我が権限において特別選挙を実施する」と述べ、現大統領の独断で臨時的に次期大統領候補を決め、その後に新大統領は通常通り首相を指名し、選挙~投票フェーズを行います。特別選挙が終了すると、大統領候補の順番は本来の順番に戻ります。(つまり特別選挙を宣言したプレイヤーの右隣へ)
特別選挙の次期大統領指名は、誰に対しても実施できます。自分でも構いません。つまりこの場合だけ、1人のプレイヤーが2回連続で大統領を担うという事態がありえます。
法案の覗き見
法案カードの山札の一番上から3枚をコッソリ見ることができます。見た後は順番を変えずに元に戻します。口頭でその内容を他プレイヤーに伝えることは自由です。もちろんウソをついても構いません。
処刑
「我が権限において(プレイヤー名)を処刑する!」と述べ、自分以外の誰か1人を選んで処刑します。処刑されたプレイヤーがヒトラーだった場合は、即座にリベラル側の勝利が確定します。
ヒトラーでなかった場合、そのプレイヤーは脱落しゲームが継続します。脱落したプレイヤーは投票や議論に参加できませんが、最終的に自陣営が勝利すれば勝利となります。
拒否権発動
拒否権発動は、ファシスト党の法案が 5 つ成立した時点で適用される特別ルールです。ファシスト党の法案が 5 つ成立した以降、大統領と首相が合意した場合にのみ、政府は引いた 3 枚の法案をすべて捨てることができます。
まず、大統領が法案を 3 枚引いて 1 枚を捨て、2 枚を首相に渡すところまでは通常通りに実行します。その後首相は、法案を成立させる代わりに「この法案に拒否権を発動する!」と宣言できます。大統領がそれに同意する場合、「拒否権を承認する」と宣言し、残った法案は 2 枚とも捨てられ、立法フェーズは終了します。
大統領が同意しない場合、首相は通常通りに法案を成立させる義務があります。拒否権の発動は政府が機能不全であることを意味するため、選挙トラッカーが 1 つ進みます。
ゲームのコツ
- 常にリベラル派であることを主張しましょう。ファシスト派であることを明かすメリットはありません。更に言えば、リベラル派は大抵の場合、ウソをつく必要はありません。真実を語るようにしましょう。
- ファシスト派の法案可決が進むとリベラル派の敗北が近づきますが、例えばヒトラーを処刑したい場合など、リベラル派があえてファシスト派の法案を通す局面も出てきます。
- 議論が長引くとファシスト派の不利になるので、議論は制限時間を設けると良いでしょう。
- ファシスト派の勝利方法は2通りですが、法案を6つ可決させるより、3つ可決後にヒトラーを首相にする方法の方が勝ちやすいです。ヒトラーをいかにして首相に就任させるかを中心に考えた方が良いでしょう。
- 他人が行った行動の理由を問いただしましょう。これは独裁行動において特に重要です。大統領が調査や指名や処刑を行う対象を考えているようなら、実行前に聞いてみましょう。
- ファシスト法案が成立した場合、容疑者は 3 人だけ、すなわち、大統領か、首相か、法案の山札のいずれかです。法案カードはファシストの方が多いので、リベラル派の大統領が偶然3枚ともファシスト派の法案を引いてしまう事態はありえます。
- (個人的な追記です)後半にしか処刑ができないとはいえ、脱落者はツマラナイので、『投票はできないが議論に参加しても良い』という追加ルールを設けてもいいかもしれません。
面白そうだわさ!
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